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飲食店の「SNS活用術」、4つのツールを駆使する繁盛店に集客のコツを聞いた

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「SNSの投稿もキャンペーン内容も、お客様目線で考えることが大切」と語る、『ぶたさま』店長の隈元光広さん

「SNSの活用が集客に有効なのは分かっているんだけど、何を書いていいかわからない」、「ユーザーの反応がないから続かない」。そう感じている飲食店の関係者は多いのではないだろうか? そこで今回は、代表的な4つのSNS、「Instagram」、「Twitter」、「Facebook」、「LINE」を集客に活用している、渋谷の焼肉店『ぶたさま』を取材した。

料理写真は「自分自身が美味しそうと感じるまで撮る」

2011年12月にオープンし、先日5周年を迎えた『ぶたさま』。SNSはほぼ毎日更新され、100字前後のコメントとともに、シズル感たっぷりの料理や、イベント中に撮影した楽しげな写真が投稿される。以前はSNSごとに違う投稿をしていたが、煩雑さから更新が止まりがちになったため、現在は4つを連動させて同じ内容を流すようになったという。その中で最も反応がいいのはどのSNSだろうか? 店長の隈元光広さんに聞いてみた。

「時代の流れか、InstagramとTwitterが強いですね。他と比べて反応が速いですし、新規の方も多いです。以前はFacebookに力を入れたんですけど、Facebookは新規開拓が苦手で、既存客のフォローが得意という感じがしますね。『ぶたさま』の場合は20代から30代のお客様がSNSを見て反応してくれています。40代から上のお客様は店の前に出している看板を見てくれることが多いです」

SNSではアイキャッチとなる写真が重要だが、投稿する際のこだわりはあるのだろうか?

「やはり美味しく見えるように、自分自身が『美味しそう!』と感じるまで何度も撮り直しています。たとえば女性を意識して豚肉をバラの形に盛り付けてみたり、男性が好む『ウマ辛い』メニューを投稿してみたりして反応を見ています。意外と好評だったのがまかない料理でした。試行錯誤しながらいろんなメニューを投稿しています」

お客の要望を受けて特別なメニューを作ることもあるという。どんな人が見ていて、何の料理が好まれるのかというリサーチにも使えるので、ぜひいろいろな料理を投稿してみてほしい。

Instagramの投稿。こだわり写真とハッシュタグの使用が特徴的

ハッシュタグをつけることでSNS上の検索にも強くなる

『ぶたさま』の投稿の特徴に、効果的なハッシュタグの使い方もあげられる。そもそもハッシュタグとは、SNSの投稿時に使用する、「#(シャープ)」で始まる言葉を指す。同じタグがついた投稿をまとめて閲覧することができるため、フォロワーやファンでない人にも見てもらえる機会が高まる。スマホネイティブ世代は、SNSでお店を探すときに「#地名」「#カフェ」などのハッシュタグで検索をする人が増えている。投稿にはできるだけ多くのハッシュタグをつけて人目に触れる機会を増やすことが大切だ。

1品29円という驚きの価格で行ったくじ引きキャンペーン

ありきたりな割引キャンペーンでは埋もれてしまう。『ぶたさま』の戦略は?

『ぶたさま』でいちばん反響がある投稿は「割引」に関するものだという。ただし、普通の割引ではない。たとえば29日に行うのは、くじで引き当てた最高2000円のメニューが29円になるというもの。SNSで告知したところ、店に入りきらないほど客が集まり、大盛況だったという。また、5周年記念として、「ハラミ(680円)」などのメニューが10円になるクーポンを配布。クーポンを店舗まで取りに来てもらうことで、配布時と使用時の2回足を運んでもらう仕掛けだ。そのほか男性応援割引や、コスプレ割引などのユニークなものが多い。そのこだわりを伺ってみた。

「たとえば『10%OFF』や『ドリンク無料』ということは競合他社もやっているので、ネットで埋もれやすいんです。当店は圧倒的な割引を行うことで差別化を図っています。お客様から『そんな価格にして大丈夫?』と心配されるくらい、ありえないほど安くすることで集客につなげています。一番大事なのは『この値段なら、自分だったら行く』とお客様目線で納得できるまで考えることですね」と隈元さん。

メインメニューを安くする分、サイドメニューを高くすることでバランスをとっているのだろうか?

「それはないです(笑)。もともと全体の価格が安いので、赤字覚悟です。でも、出費以上に集客効果が大きいんです。SNSは基本無料なので、販促費をお客様に直接還元しているような感じですね。お客様が『楽しい!』『すごい!』と感じると写真を撮ってSNSで投稿してくれるので、それも認知度アップにつながっています」

毎回アイデアを考えるのは負担にもなりそうだが、企画やSNSを担当するスタッフは「電車での移動中など常に企画を考えているのですが、アイデアがどんどんあふれてきます。『ぶたさまのSNS面白いね』と言ってくれるお客様のために、楽しみながら更新しています」と語る。

SNSは「お客様に楽しんでもらい、自分も楽しむもの」

SNSはすぐに成果が出るものではない。コツコツと投稿を続けることでゆっくり育っていく自社メディアなのである。『ぶたさま』のように「お客様に喜んでもらい、自分自身も楽しむ」という気持ちを持つことが、SNSを無理なく長く続けていく秘訣と言えそうだ。

SNSだけでなく看板を利用した訴求も巧みだ

『ぶたさま』
住所/東京都渋谷区代々木1-42-12 我妻ビル1F
電話番号/03-6276-3945
営業時間/18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/日・祝
席数/28席
http://butasama.com/

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三原明日香

ライター: 三原明日香

編集プロダクションに勤務し、フリーライターとして10年以上活動。ふとしたことから労働基準法に興味を持ち、4年間社労士の勉強に打ち込む。2014年に試験に合格し、20年4月に開業社労士として独立した。下町の居酒屋で出されるモツ煮込みが好物。