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飲食店の約半数が外国人採用の経験アリ。人手不足を解消する一手となるか!?

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Photo by iStock.com/DragonImages

飲食業界の人手不足が問題となるなか、状況を打破するために、策を練っている店も多いのではないのだろうか。その解決策のひとつとして注目を集めているのが「外国人の採用」だ。そこで今回の「飲食店リサーチ」では、外国人スタッフの採用状況に関するアンケート調査を実施。実際に外国人スタッフを採用した店舗の生の声とともに結果を紹介する。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:158名
調査期間: 2017年12月20日~2017年12月24日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果はこちら

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち62.7%が1店舗のみを運営しています。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は62.0%(首都圏の飲食店の割合は76.5%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

5割近くの飲食店が外国人スタッフの採用経験アリ

まず、外国人スタッフの採用経験について聞いたところ、「採用経験がある(48.7%)」、「採用経験がない(51.3%)」という回答が得られた。また、運営店舗数が「1店舗」の回答者に絞っても、「採用経験がある(34.3%)」「採用経験がない(65.7%)」という結果に。個人経営の飲食店においても、外国人スタッフの採用が進みつつある状況がうかがえる。

約半数の飲食店が外国人スタッフの採用経験がある

次に「外国人スタッフの採用経験がある」と回答した人に対し、外国人スタッフを採用する理由を聞いたところ(複数回答可)、「外国人と日本人を区別していない(48.1%)」「日本人のスタッフが採用しづらいから(44.2%)」「英語や中国語など日本語以外の語学力(26.0%)」「日本人よりも優秀・勤勉なスタッフを採用できるから(15.6%)」「その国の料理を出す店だから(11.7%)」「その他(15.6%)」という回答が得られた。

「外国人と日本人とを区別していない」という回答を除くと、「日本人のスタッフが採用しづらいから」と回答した人の割合が最も高い。人手不足を解決するための手段として、外国人スタッフの採用に踏み切る飲食店の様子が読み取れる。

日本人が採用しづらいために外国人を採用するケースが多い

採用経験なしの店も約8割が「今後は採用の可能性あり」

「外国人スタッフの採用経験がない」と回答した人に対し、外国人スタッフを採用しない理由について聞いたところ(複数回答可)、「外国人を採用する機会がたまたまなかった」と答えた人が最も多く56.8%。以降、「外国人採用における条件や手続きが分からない(43.2%)」「日本語でのコミュニケーションが不安(42.0%)」「勤務態度や仕事へのモチベーションが不安(32.1%)」「日本人スタッフとの協調性が不安(19.8%)」「すぐに離職してしまわないか不安(17.3%)」「その他(6.2%)」という回答が続いた。

外国人の採用に関する手続きに不安を感じている店舗が多いようだ

さらに「外国人スタッフの採用経験がない」と回答した人に対し、今後、外国人スタッフを採用する可能性があるかどうかを聞いたところ、「採用することはない」が22.2%に対し、「採用するかもしれない」が77.8%に。外国人スタッフの採用経験がない飲食店の多くは、今後の採用を視野に入れているようだ。

外国人採用の需要が高まっていることがわかる

人手不足は解消したものの、文化や習慣の違いに戸惑いも

最後に、外国人スタッフの勤務開始後の苦労や良かった点について、自由記述式で聞いたところ、以下のような回答が得られた。

■良かった点
「海外からのお客様が多いのでコミュニケーションがすぐに取れて、細かいサービスの提供やご要望に答えることが可能。日本人スタッフも海外のお客さまへの対応を学ぶことができる。コミュニケーション能力が豊富なため、リピーターのお客さまがつきやすい」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

「日本人との常識の違いには困るが、仕事に対する意欲は良いと思う」(東京都/和食)

「応募が集まりづらいキッチンアルバイトが充足できたこと」(東京都/焼肉)

「留学を終えて帰国する際に、後任の留学生を探してきてくれ、バトンタッチによる採用が継続されている」(東京都/和食)

「アジア料理を提供しているが、外国人スタッフの母国料理なので、現地の正確な料理イメージを教えてくれる。ほかのスタッフの刺激にもなった」(神奈川県/アジア料理)

■苦労した点
「どんな状況でもきっちり定刻で帰るなど、日本人のように空気を読むことが難しい」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

「キッチンスタッフとして外国人を採用。留学ビザでの勤務時間制限を守ってもらうことを、各店長に徹底することが最初苦労した」(東京都/焼肉)

「ほとんど日本語を話せない外国人スタッフがいて、言葉がなかなか伝わらないので、ジェスチャーや日本語が上手な同国のほかのスタッフに通訳してもらうなど、仕事を教えるうえで不便さを感じた」(福岡県/ラーメン)

「文化や習慣の違いによる、働く意識の違い 」(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー)

「最初に教えなければいけないことが、日本人よりかなり多い」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

「文化の違いや言葉のニュアンスの違いに苦労した」(茨城県/テイクアウト)

言語や文化の違いから最初は時間をかけて教育する必要があるが、人手不足に加えてインバウンド需要も高まっているだけに、外国人スタッフは今後ますます大きな戦力になるに違いない。もちろん日本で働ける外国人には条件があったり、採用した場合はハローワークに届け出が必要などのルールはある。ルールが分からず外国人の採用に踏み切れない人は、ハローワークなどの専門機関に相談してみるといいだろう。

「飲食店リサーチ」について
飲食店リサーチ」では、飲食店を経営する皆さまに、店舗運営に関する様々なアンケートを行っています。 アンケート結果は、飲食店の皆さまに店舗経営のヒントとして活用していただけるよう、レポート記事として公開されたり、 皆さまが利用する業務用商品やサービスなどの開発に役立つデータとなります。

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戸田千文

ライター: 戸田千文

広島・東京を中心に活動するフリーランスの編集・ライター。これまでにグルメ冊子や観光ガイドブック、町おこし情報誌などの編集・執筆を担当。地方の魅力を首都圏に発信する仕事をするのが夢。おいしい地酒を求め、常にアンテナを張り巡らせ中。