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約6割の飲食店が消費税増税に際して値上げ予定。客足・売上への影響は?

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Photo by iStock.com/yuriz

2019年10月より、消費税率が8%から10%へと引き上げられる。これに伴い、弊社では、飲食店経営者や運営者に消費税引き上げ時の飲食店の対応に関するアンケートを実施。すると、62.1%の店舗でメニュー価格の値上げを予定していることがわかった。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:309名
調査期間: 2018年11月12日~2018年11月26日
調査方法:インターネット調査

62.1%の飲食店が2019年10月の消費税増税に合わせて値上げを予定している

ちなみに2014年4月にも消費税率5%から現在の8%に引き上げられたが、この時も約6割の店舗でメニュー価格の値上げが実施されている。2014年当時に値上げをした店舗に対し、売上が減少するなどの悪影響があったかどうかを尋ねたところ、影響があったと回答したのは34.1%。過半数以上の店舗は売上への影響を感じていなかったようだ。

34.1%の店舗が「影響があった」と回答

さらに、影響があったと回答した店舗の内、39.7%が1~3か月程度で売上への影響が収まったとしている。半年まで期間を広げると、その数は68.5%に増える。値上げ当初こそ影響を受けたものの、長期に渡り影響を受けた店舗は少数派のようだ。このような経験が、今回のメニュー価格引き上げの背景にあるものとみられる。

値上げの影響は半年以内に収まることが多いようだ

一方、増税による影響を受けた店舗の声を見てみると、

「オーダーの品数が減少。ドリンクはあまり影響なかったがフードは目に見えて減少した」(東京都/イタリア料理/1店舗)
「しばらく来店数と単価が下がっていた」(愛知県/居酒屋・ダイニングバー/11~30店舗)

といったように、単価の低下や客数の減少などの声が聞かれた。増税により、財布の紐が堅くなった消費者の影響を受けている様子がうかがえる。

Photo by iStock.com/SPmemory

消費税引き上げ、軽減税率への対策は?

今回の消費税引き上げでは、単に消費税率が引き上げられるだけでなく、多くの飲食店で軽減税率への対応が求められることになるのもポイントだろう。こうしたなか、対応に苦戦している店舗もあるが、すでにメニューを「外税表記へ変更」するなど、対策に乗り出している店舗も多い。

また、消費税増税時に約6割の店舗が行う予定だという「メニュー価格の値上げ」だが、消費税増税前から徐々にメニューの値上げをし始めているという店舗もある。客に大きな負担を感じさせないようにしたい、という飲食店側の狙いがうかがえる。

一方で、「仕入れやメニューの見直し」、「オペレーションの簡略化」といったように、企業努力により消費増税を乗り切ろうとする声も聞かれた。こうした対応には、自店舗で働くスタッフの理解を求める必要が出てくるだろう。

また、軽減税率対策として「軽減税率対応のレジ」を購入したという店舗もある。今回の増税では、テイクアウトの場合には軽減税率が適用され、消費税は8%となる。そのため、テイクアウトのような軽減税率対象商品を扱う店舗では、レジの入れ替えや改修といった対応が求められることも。軽減税率対応レジの導入に関しては、国が補助金を用意しているので、対象となる店舗は検討してほしい。

こうした軽減税率の影響を見越して「テイクアウトの強化」を行う店舗も見られた。これまでテイクアウトを実施してこなかったという店舗も、この機会に新たな挑戦をしてみるのもいいかもしれない。

消費税率の引き上げまで残り1年を切った。飲食店の中には消費税引き上げへの対応に加え、軽減税率への対応が必要な店舗もあるだろう。新しいレジへの対応など、スタッフの負担が大きくなることもあるはずだ。直前になって慌ただしく動くことのないよう、今から準備を整えていってほしい。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。