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コヤマパーキング×ましか、福岡最強コラボ誕生。小窓通じて「メニューを相互提供」

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料理の受け渡しはこの小窓で行う

お客様にとっての選択肢が増え、スタッフの負担は減る

この取り組みが始まって2か月が経過したが、オペレーションは実にスムーズに回っていると、上山さんと蔡さんは声を揃える。オーダーが入ったとき、メニューができたときは、小窓を開けてベルを鳴らす。

「お客様がベルに反応するんですよ。なんだろうって。それが会話のきっかけにもなっていますね。うちは和食が中心ですし、『ましか』さんはイタリアンが中心。ワインを置いているものの、ワインのアテになるものはそこまで多くなかったんですよ。メニューを増やすにも仕込みに影響してきますし。隣に『ましか』さんがいることでその負担は軽減できます」と上山さん。「お客様にとっての選択肢が広がることはいいこと。お互いにメリットがありますよね」と、蔡さんも上山さんの発言に同調する。

『コヤマパーキング』の「豚足のかりかりポン酢焼き」

12月の約10日間で計算したところ、『ましか』で提供した『コヤマパーキング』のメニューが約6万円、『コヤマパーキング』で提供した『ましか』のメニューが約3万円だったという。これはスタートのタイミングが少しズレたこともあるそうだが、今現在はほぼ同じくらいになっているという。1日平均5〜6,000円の売上になるが、『コヤマパーキング』にとっても『ましか』にとっても、1~2人分の売上が上がることになる。

「最初にどちらかしかオーダーが入らなかったらデメリットもあったかもしれませんが、お互いに同じくらいのオーダーが入ってきましたし、デメリットは特にありません。何よりお客様に新たな機会を提供できることが大きい。金額だけを考えた場合、差が開いたらデメリットに感じたかもしれないけれど、最初から機会をメインに考えていたので、それはありませんね」と上山さん。

一方、蔡さんも「『コヤマパーキング』さんに入れなかったお客様が、うちにきて『コヤマパーキング』さんのメニューを食べていただいてもいいわけです。行きたかったお店に入れなくても、それがネガティブなことにならず、うちとしては店の存在を知ってもらうことで、今後の集客にも繋がります。それでいいと思いますね」と話す。

細かな修正点はあるものの、その都度話し合っており、コミュニケーションが取れているからこそ、面白がりながらできているのだ。

『ましか』の「もち豚のパテ」

また、上山さんは、今後の飲食業界についての展望をこう語ってくれた。

「どこかのスペシャリテを集めまくったお店があっても面白いですよね。福岡にもほかのお店の名物メニューを提供するお店が増えてきました。これから先は、委託ではないけれど、そういうことが増えてくるんじゃないかなと思います。たとえば『ましかのタヤリン』とか、『百式のパリパリピーマン』とかを、ほかのお店でも提供できるようにできれば、販路も広がりますし、料理人じゃなくても独立するという選択肢が生まれます。うちでホールメインにやっているスタッフも独立を考えられるというのは、メリットが大きいですよね」

以前は独立を考えた場合、料理もサービスも全てできなければならなかったが、自分が持っているコミュニティを活用すれば、全てを経験しなくても独立できる時代になってきているのだ。

『コヤマパーキング』のイチジクとチーズの生ハム包み

ちなみに今回の取り組みによって、お客はメニューの選択肢が広がるというメリットがあるが、それだけでなくスタッフ側のメリットも大きいという。

「うちは今、仕込みの時間から4人のスタッフが入っていますが、もし2人ですることになったとき、メニューを半分に減らしてもましかさんのメニューがあれば、おかしなことにはなりません。仕込みの負担を減らしてもメニューは減らず、提供できる席数は増える。今後のお店のスタイルとして面白いと思いますよ」と、上山さん。

蔡さんによると、最近の若いスタッフは「時間」と「お金」のどちらかを選ぶなら「時間」を選択する人の方が多いそう。『ましか』の場合、大阪のセントラルキッチンで作られたものを福岡で仕上げるというスタイルのため、仕込みはほとんど必要なく、16時に入店し17時に開店することが可能なのだそうだ。また、互いのメニューを提供することで、それぞれのメニューのこと、食材のことを知れることも、お互いのスタッフにとっての学びとなっている。

今回の取り組みが成功しているのは、コミュニケーションが上手くいっているからこそ。お互いにアイデアを出しながら、言いたいことを言い合える関係でなければ、ここまで上手くいくことはないはずだ。

「『コヤマパーキング』さんと窓を通して笑顔で受け渡しをするのがすごくいいんですよね。料理だけでなく、想いを受け渡しているという感じがするんです。違う店だけど、想いを共有できる。1つのチームという感じがしますよね」と蔡さん。

今回の取り組みはまだ始まったばかり。今後もアップデートしながら、さらに面白いカタチへと進化していくことだろう。

『めしや コヤマパーキング』
住所/福岡市中央区警固1-6-4 KENT KEGO A
電話番号/092-688-6311
営業時間/18:00~L.O.24:00
定休日/不定休

『(食)ましか 福岡本店』
住所/福岡市中央区警固1-6-4 KENT KEGO B
電話番号/070-5344-4455
営業時間/17:00〜翌1:00
定休日/不定休

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寺脇あゆ子(cadette)

ライター: 寺脇あゆ子(cadette)

福岡・大阪の出版社勤務を経て、福岡を拠点に活動するフリーの編集者・ライター。グルメ情報誌『ソワニエ』やシティ情報ふくおか別冊『福岡肉本』などの地元情報誌のほか、ぐるなびが運営する『dressing』、スイーツ専門の『CAKE.TOKYO』、ウェブマガジン『greenz.jp』などのウェブメディアでも九州・福岡を中心とした情報を発信している。