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燻製を武器にしたブルーパブで躍進。『Smoke Beer Factory』のコンセプトメイク術

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店内の醸造設備では1回の仕込みで300リットルを醸造

燻製への並々ならぬこだわり

といっても、燻製の技術は一朝一夕に身につくものではない。日頃からの研究だけでなく、燻製に対する姿勢も注目すべきところだ。

大塚店で造っているビールは、ペールエールやヴァイツェンのように王道のスタイルもあるが、もちろんスモークビールもある。そのスモークビールを造る際にも、燻製には相当こだわりがあるという。

「実は、ビールを造るよりも燻製麦芽を造るほうが手間と時間がかかっているんです。麦芽を燻している間は、ずっとそこから動けないので。温度や湿度、色付きなど、すべてそこにはりついてチェックしています。そうしないと美味しい燻製麦芽が造れないんですよ」

燻製は手軽にできるというイメージもあるが、手間と時間をかけると格段に美味しくなる。それが燻製麦芽にも燻製料理にも当てはまるのだそう。

「マヨネーズや醤油の燻製も造っているんですが、造るのに5、6時間以上かかります。もちろん、途中で何度もかきまぜたり、味の確認をしたりしています」

そのこだわりが燻製のクオリティをアップさせ、ほかの飲食店に卸すまでのレベルになったのだという。

1階はカウンターのみ7席。2階はテーブル席でゆったり飲める

コンセプト設計は自分たちの強みを理解することから

「10年くらいの計画を立てていて、それはずっとクリアしてきています」という山崎氏からは、コンセプトと計画の重要性を感じずにはいられない。

もともと食品製造業に参入する考えもあったため、店舗展開から工場を造るということまで計画していたという。しかし、燻製の需要が増えてきたので、工場設立は当初の計画よりも前倒しに。計画をしっかり立てつつも、社員や世の中の変化に対応することが大切なようだ。

「それと、どんな計画があっても、社員がついてこないと物事はうまくいかないですよ。社員の夢をかなえるのが社長の役割。醸造長のなまちゃんは、人生をかけてビール造りをやりたいと考えていたので、当然そういう社員には任せますよね」

そうやって、社員の夢を叶えたり、世の中の変化に対応できるのは、背骨である燻製というコンセプトがあってこそ。自分たちの強みをしっかり理解し、それを軸にしていくことで、ブルーパブにも独自性が生まれる。

『Smoke Beer Factory』の「燻製とクラフトビール」というコンセプトは、自分たちの強みを理解するところから始まっていたのだ。

『Smoke Beer Factory大塚店』はJR大塚駅から徒歩2分

『Smoke Beer Factory大塚店』
住所/東京都豊島区南大塚1-60-19 パルムハウス103
電話番号/03-3942-0180
営業時間/火曜~土曜17:00~25:00(L.O. 24:30)、日曜17:00~23:00(L.O. 22:30)
定休日/月曜
席数/35

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com