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消費税増税から1か月、飲食店に聞くリアルな声。客足が減少した店舗も

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テイクアウトがある場合は、軽減税率の価格設定にひと苦労

今回導入された軽減税率制度は、テイクアウトを実施している店舗にとっては悩みの種と言えるだろう。Bさんの店舗では、外税で価格を設定しているため、価格設定には非常に苦労したという。「増税前のコーヒーの価格は、イートインもテイクアウトも450円(+税)という設定でした。増税後は、イートインもテイクアウトも同じ価格にするため、店内は450円(+税)、テイクアウトは458円(+税)で、どちらも495円になるように設定し直しました。すべてのメニューを計算し直さなければならず、本当に大変でした」と話す。

一方、内税で価格設定しているAさんの店舗では、消費増税に伴う値上げは行わなかった。「もともとキリのいい価格設定にしているので、今回の増税での値上げは行いませんでした」と言う。イートインもテイクアウトも同じ価格で据え置くと、店側の支払う税金は増えてしまうが、お客様に混乱を招かないよう「変更しない」という決断をしたそうだ。

画像素材:PIXTA

キャッシュレス決済の利用は都市部の方が多い

キャッシュレス決済の利用は、都心から少し離れた場所に店を構えるAさんとBさんは「大きな変化はない」と答えたが、オフィス街に店を構えるCさんは、キャッシュレス決済がかなり増えたという。

「今までは6割以上のお客様が現金での支払いだったのですが、10月以降はキャッシュレス決済が逆転して7割近くになりました。増税直後の10月1日には、お客様の9割近くがキャッシュレス決済だったので、本当に驚きました」と話す。都市部のオフィス街という立地に加え、近隣にはIT企業が多くあることも、キャッシュレス決済が増えた一因ではないかと推測していた。

客足は減少傾向にあるものの、税率10%による意外な恩恵も?

増税による大きな変化はあまりないと言うAさんに対し、Bさんは増税前の9月、Cさんは増税後の10月に客足が減ったと話す。そんな中、消費税増税の意外な恩恵があったと話したのはCさんだ。「当店では、商品価格は全て100円単位で設定していたので、消費税10%になったことで、合計金額の端数が10円単位になりました。今までお釣りとして用意していた5円や1円の必要がなくなり、両替する手間も減ったので、増税でもいいことってあるんだなと思いました(笑)」と話してくれた。

消費増税、そして軽減税率制度のスタートは、飲食業界に大きな影響を与えた。今回取材した3名が語るように、すでに客足に影響を受けている店舗も多いはずだ。消費動向がどのように変化していくか、今後の動きにも注目していきたい。

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熊本憲一

ライター: 熊本憲一

出版社時代に、グルメガイドやレシピ本などの取材・編集を多数経験。フリーランスとして独立後は、撮影も行う取材ライター、編集者・Webディレクターとして活動中。現在は、企業の広報やPR、コンテンツディレクションを行うほか、自身も飲食店での調理・接客経験あり。