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外食業界のM&A、2019年の動向を総括。来年はスタートアップのM&Aが増加!?

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

外食業界のM&Aが活況を呈している。今年の動向をふり返りながら、2020年のM&A市場の動きを予測していきたい。

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「水平統合」が目立った2019年のM&A

外食業界で行われるM&Aには大きく2つのパターンがある。1つは「垂直統合」と呼ばれるもので、仕入れ先や配送業者を買収してバリューチェーンを統合し、コスト削減を狙うもの。もう1つが業態や店舗数を広げる「水平統合」で、規模の拡大を狙うものだ。2019年の外食M&Aは後者が目立った。

その背景には、消費者の好みやトレンドの入れ替わりが早くなったことがある。消費者はインターネットやSNSなどでいち早く情報をキャッチし、鮮度の高いうちに話題のお店に足を運ぶようになった。この消費者のスピードに企業の業態開発が追いつかず、手っ取り早く別の業態を買収するようになったのだ。

M&Aによって業態を広げた典型的な例が、今年5月に梅の花が発表した、居酒屋『さくら水産』を運営するテラケンの買収だ。梅の花は、湯葉や豆腐を売りにした懐石料理レストランを展開。ハレの日などに訪れる家族連れをターゲットとしていた。一方、『さくら水産』は低価格がセールスポイントの居酒屋。梅の花は、『さくら水産』を買収することで、同店を利用する男性客へと集客チャネルを広げることに成功した。

居酒屋企業がM&Aで焼肉業界に進出する例も目立った。『昭和食堂』を運営する海帆は、5月に立ち食い焼肉『治郎丸』の弥七を買収した。11月にはチムニーが『焼肉牛星』を運営するシーズライフの株式を取得している。どちらも多業態化に踏み出した。

変わったところでは、6月にクリエイト・レストランツ・ホールディングスが、西洋フード・コンパスグループから、ゴルフ場内のレストラン運営事業を譲受している。同社は企業買収で業態を広げる戦略を明確に打ち出しており、イクスピアリの飲食事業や磯丸水産のSFPホールディングスなども買収によって傘下に入れている。ニッチ事業の譲受という意味では、ロイヤルホールディングスも11月に西洋フード・コンパスグループから、サービスエリアなどの食堂・売店事業を取得した。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

M&Aは「のれん」の減損損失に要注意

「資金力さえあればM&Aでどんどん拡大すればいい」。そう考える人も多いが、そんなに単純なものではない。企業買収にも危険が潜んでいる。それが「のれん」の減損損失だ。

のれんとは、企業を買収したときの価格と、買収した企業の純資産の差のこと。例えば、純資産5億円の企業を10億円で買収した場合、5億円が貸借対象表の無形資産として計上される。日本の会計制度では、のれんは通常20年で償却される。しかし、買収した会社が思うように利益を出せなかった場合、のれん分を損失として損益計算書に計上しなければならない。同時に貸借対照表の資産からのれんを減価する必要がある。

外食企業では、小僧寿しが1月に買収した宅食事業・デリズののれん7億9000万円を全額減損損失として計上した。これにより、小僧寿しは債務超過となって3月に東京証券取引所が上場廃止の猶予期間に入ったと発表している。小僧寿しは第三者割当増資などを行ってこれを回避している。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

2020年はスタートアップのM&Aが活発に?

新しい動きとして注目したいのが、投資ファンドやベンチャーキャピタルの活用だ。コメダ珈琲、スシローに代表されるように、これまで外食企業は投資ファンドから買収の対象企業と見られていた。しかし近年は、ファンドとの資本提携や、自社内でベンチャーキャピタルを立ち上げて応用するケースが目立つ。

『丸亀製麺』のトリドールホールディングスは、米投資ファンド・Hargett Hunter Capital Managementの出資を受け入れると発表した。これはトリドールのイグジット(売却)を目的としたものではなく、ファンドがトリドールの世界展開に向けたFC加盟店探しや立地開発などのサポートをするものだ。

居酒屋『九州熱中屋』などを運営するDDホールディングスは、2018年11月にベンチャーキャピタルを設立しており、今年8月に最初の案件となるグルメSNS「シンクロライフ」のGINKANに出資を決定した。ベンチャーキャピタルを自社で活用することで、スタートアップ企業との連携や買収がいち早く行えるようになる。目まぐるしく変化する、高度な情報化社会にマッチした企業戦略だ。

また、モスフードサービスは11月、オイシックス・ラ・大地が設立したベンチャーキャピタルに出資を決めている。このファンドはフードイノベーションに特化しており、農業やヘルスケア企業などに投資をしている。モスフードが出資した狙いは、代替肉など食の最前線に関わる最先端企業の情報をいち早く仕入れることにあるのだろう。

自社がベンチャーキャピタルを持つことを、コーポレートベンチャーキャピタルと呼ぶ。住友商事や丸紅などの総合商社や、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エーなどのIT企業はすでに数百億から数千億円規模のファンドを自社で抱えており、スタートアップ企業などへの投資を積極的に行っている。

外食業界は成熟した店舗を買収するM&Aが活発だが、今後はスタートアップ企業への投資や買収が活発になると予想される。2020年もシーンを刺激するようなM&Aが活発に行われていくに違いない。

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フジモトヨシミチ

About フジモトヨシミチ

ビジネスのヒントになる情報を届けて、飲食業界の活性化を願うライター。業界紙の編集からITコンサルタントに転身。副業で執筆。得意分野は飲食店、ホテル、結婚式場の経営。