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竹田クニ氏が読み解く2020年の外食トレンド。未来に向けた3つの提言

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画像素材:PIXTA

2020年のトレンドキーワード ~2018年、2019年のトレンドがより進化~

過去3年間で、「本物」「進化系」「イミ消費」などのキーワードを提言してきました。その流れは今年のランキングにも反映されていますが、2020年も大きな方向性では変わることなく、それぞれが「進化」していくものと考えます。

■2020年のキーワード
1、ジャパンプライド(昭和回帰、日本回帰、地方回帰)
2、イミ消費
3、極み、進化系
4、反動/背徳消費
5、本物・素材感
6、おひとり様、「孤食化」と「個食化」
7、キャッシュレスをはじめとした業務効率化

1、ジャパンプライド(日本回帰、昭和回帰、地方回帰)
日本が持つ文化的な価値を再認識・再発見し味わうことに貢献感や満足感を得て、それに誇りを感じ、持つことです。グローバル化が進み、異文化・習慣と触れ合う機会が増えるからこそ、日本の持つ素晴らしさを再認識していく意識が進むと思われます。また経済が成長し、日本人が生き生きと活力があった時代への憧憬は、若い世代にとっては新たな体験価値を持っているようです。

<事例>
古き良き日本の食習慣、料理、設備、昭和回帰の大衆酒場、国産食材を使ったメニュー、地域再生モデルとしての農場レストランなど

画像素材:PIXTA

2、イミ消費
モノ消費(have)→コト消費(do)→「イミ消費」(be)へと価値観が変化。物やサービスを買うなら、健康増進、社会貢献、他者支援、地域貢献・共生、歴史文化の伝承・交流、手作り、地域貢献、フェアトレードなど、こうした価値が「付加」されている商品を選ぶ人が増えるでしょう。

特に、「体をつくる素」としての健康、環境影響に配慮した商品などが注目されます。また、特にミレニアル世代(20~30代)、ジェネレーションZ(ミレニアルの下の世代)は社会正義的な価値に敏感と言われており、彼らの消費喚起には重要と言えます。

3、極み、進化系
商品の特徴的な具材や成分を、量や質で極端に際立たせた商品に支持が集まっています。極端な大盛り、そして具材の存在感ある大きさや厚みは視覚的なインパクトが大きく、SNS映えにも適するでしょう。また、「質」では普及品とは異なる本格的な味わいや背景にあるストーリーが消費者からの支持につながっています。

<事例>
・量…メガ盛り、厚切り、激辛、強炭酸、強アルコールなど
・質…丸ごと生搾り、産地限定、フローズン、無農薬など

メガ盛り料理はSNSにも投稿しやすい。画像素材:PIXTA

4、反動/背徳消費
糖質制限やプリン体の摂取制限など、具体的で積極的な健康管理、体作りに取り組む消費が増えた一方で、チートデイ(制限なく好きなものを食べてもいい日)を設けるなど、美味であっても必ずしも健康管理に良くない食材を「思いっきり楽しむ」というイベント的な機会を設ける消費者が登場してきています。

<事例>
背徳鍋、痛風鍋、激辛スパイス鍋など

5、本物・素材感 
本格的な素材や優れた職人の技術にこだわった商品が人気となるでしょう。一般の商品よりも高価であっても、行列も生まれるほど消費者の支持を集めることが予想されます。バブル時代の「高級品志向」とは異質なもので、特にこだわらない食事や品物は安価な汎用品で済ませても、自分が好きな、こだわりたい食には思い切って消費するというメリハリが感じられるのが特徴です。

<事例>
高級食パン、和牛、熟成肉、滋養強壮など

6、おひとり様、「孤食化」と「個食化」
「孤食化」は一人で食事をするもので、「個食化」は、例えば家族で食事の際でも一人一人が別々のメニューを食べるというものです。ライフスタイルの多様化に対し、少量で多様、便利なメニュー・惣菜を提供することが求められます。

<事例>
・孤食化…ひとり焼肉、町中華、居酒屋のお一人様セット
・個食化…回転寿司のラーメンなど

7、キャッシュレスをはじめとした業務効率化 ~単なるブームでなく、生産性向上策の一つとして~
ほかのトレンドとは異質のキーワードですが、業務の負荷軽減などのメリットが大きく、今年のキーワードとして挙げたいと思います。テクノロジーを活用しつつ、メニュー(調理技術・提供方法)、食材の質、ストーリー、空間の魅力、接客などの付加価値向上にいかに接続させるかが重要です。

<事例>
・IT化…キャッシュレス、予約管理、シフト管理、経営分析、来客分析・予測、SNS活用など
・機械化・ロボット化…厨房機器、掃除ロボット、翻訳機など

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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