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竹田クニ氏が読み解く2020年の外食トレンド。未来に向けた3つの提言

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画像素材:PIXTA

スグそこにある未来へ向けた、3つの提言。「食のモビリティ向上」「食サ分離」「ダイナミックプライシング」

2020年以降も、前述した「グローバル化」と「ボーダレス化」という大きな2つの潮流は続いていくと考えますが、その中で、外食産業で進化発展が期待される3つのテーマを提言したいと思います。

1、食のモビリティ(移動性)の向上
ポータグルメは単なるブームではなく、社会的要請でもあります。人口減少、高齢化、世帯数の減少と分散化は特に郊外、地方では顕著です。地方の百貨店の撤退や、郊外での飲食店の廃業や退店が増え、今後さらに進むことは間違いありません。店舗が身近になくなれば、「遠くて食事や買い物に行けない」「重くて運べない」「車(免許)がない」「健康上の理由で出かけられない」など、様々な不便が発生します。

デリバリーや出張サービスで質の高い食が提供されることは、こうした「不」の解消にほかならず、それはこれからの日本の社会にとって必要かつ極めて重要な役割となります。自動運転やドローンによる配送などを活用した食ビジネスの進化も、極めて公益性が高いものです。

食のモビリティが求められる背景

2、「食サ分離」。料理とサービスの概念分離が始まる
従来の外食市場では、高級な料理には高級なサービス、安価な料理には相応のサービス……といった比例関係が多くみられますが、他業界を見てみると、商品とサービスの概念が分かれているものが多く存在します。

旅行業界では「泊食分離」という概念があり、部屋と料理の対価の概念は分離しています。例えば、部屋は同じでもセットされる料理のコースで料金が異なる、または食事なしも選べる。あるいは食事は同じでも海側と山側の部屋で料金が異なる……といった形で消費者に浸透しています。また航空業界でいえば、エコノミーとプレミアムエコノミーの差額はシートの違いです。こうした考え方は外食産業にも必要なのではないでしょうか。

■「高級料理×サービスはカジュアル」の登場
外食産業にも、料理とサービスの分離をうかがわせる事例が登場してきました。

<事例>
・セルフ焼肉店…個室焼肉で、肉は一級品の肉を出すが、焼く、ドリンク、ライスなどはセルフサービスで接客サービスは省略
・グルメ立ち食い…料理は高級だが、立食スタイルでカジュアルに提供
・カリスマ中華シェフが提供するファストフード…中華の著名一流シェフがレシピを作成し、ファーストフードスタイルで提供

こうしたスタイルの店は、食材、料理は高級ながら、サービス(コスト)を廃し、リーズナブルな価格も実現しているところが支持されています。

料理とサービスの分離をうかがわせる事例がいくつも登場しつつある

■軽減税率で浮かび上がった「サービスの対価」
報道が加熱した消費増税の「軽減税率」の問題。論点は10%と8%の違いでした。店の設備を使用するのは「外食」で10%、持ち帰りは「中食」で8%。一方、デリバリー事業者のサービスを利用すると手数料が課金されることは当たり前になってきました。

従来の日本ではサービスは料理の価格に含まれているのがスタンダードでありましたが、軽減税率の議論は“図らずも”、同じ料理でも、提供の仕方によって価格が異なることを浮き彫りにしたわけです。

海外では料理とサービスの概念が分かれているのがスタンダード。チップ制はそれを象徴する制度と言えますが、日本には馴染みにくいと考えられます。2020年以降、日本の外食市場が「グローバル化」する中で、日本らしいサービスの対価の在り方の議論と実現が進むことが望ましいと考えます。

「料理に含まれていたサービスへの対価を分離して課金せよ」ということではありません。料理とサービスの「価値」が分けて認識され、その総和に価格をつけるという発想を進めていくことが外食産業の進化発展につながると考えています。

具体的には、「高層階窓際の眺望の良い席は席料としてプラス〇〇円」「豪華な内装で、高級な音響設備がそろった部屋は室料〇〇円」「ソムリエが担当しサーブするテーブルはサービス料加算」といった設定が考えられます。一部はすでに市場で実現されているものもあると思いますが、「プラスでお金を払っても、対価に見合ったサービスが受けられる」と考える需要はあるのではないでしょうか。

画像素材:PIXTA

3、ダイナミックプライシング
「食サ分離」=料理(調理方法、提供方法、食材)、サービス(空間、接客)の概念分離は対価の在り方も変えるのではないかと考えます。例えば、旅行業界や航空業界では、繁忙期と閑散期で料金設定が異なります。宿泊産業では特日(休日祝日の前日)には料金設定が高くなるレヴェニューマネジメントと呼ばれる仕組みがあり、ゴルフ場は土日と平日では料金が異なります。

こうした需給状況によって料金が変化することを「ダイナミックプライシング」と呼びます。前述の「食サ分離」の概念をさらに一歩進んで考えてみれば、外食産業にこうしたダイナミックプライシングの考え方があっても良いのではないでしょうか。

外食産業にもピークタイム以外の時間帯に設けられる「ハッピーアワー」が存在しますが、外食産業は基本的にオーバーストア(需要=お客様に対して、供給=店が多い)という競争環境から、閑散期を埋めるために割引をするサービスが多く行われてきました。

もちろん業態にもよるのですが、「食サ分離」の概念と合わせたダイナミックな料金設定、例えば、「花火大会の時は、窓際の席は〇〇円プラス」「紅葉の時期の〇月~〇月のテラス席は〇〇円加算」「寿司屋で大将が選んだネタを自ら握ってサーブしてくれるカウンター席は〇〇円加算」などがあっても、そこに消費者のウォンツがあれば成立すると思います。

「外食業界にもダイナミックプライシングが成立するのでは」と語る竹田氏

2020年、外食産業が飛躍する契機の年に!

大きな国際的イベントが行われる2020年。「グローバル化」「ボーダレス化」と言う大きな潮流の中、外食が提供する価値を再認識し、それに見合った対価で提供する、外食産業が進化発展する契機の年になると予想します。

20世紀の成功体験から脱却し、グローバルを見据えた日本の外食産業らしい付加価値と、ふさわしい対価をいただける産業になることが「生産性向上」には欠かせないと考えています。

2020年と、それ以降を見通して事業のあり方を考える時に、今回の提言がヒントになれば幸いです。

竹田クニ
1963年生まれ。「ホットペッパーグルメ外食総研」エヴァンジェリスト、株式会社ケイノーツ代表取締役、日本フードサービス学会会員、一般社団法人 日本フードビジネスコンサルタント協会 専務理事、早稲田大学校友会 料飲稲門会 常任理事。マーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに講演、記事執筆、企業のコンサルティングを行うほか、外食、中食、給食を結ぶB to Bマッチングも手掛けている。

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