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新型コロナ問題で日本フードサービス協会「飲食店へ緊急融資を」。政府へ求める4つの施策

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

政府に求めたい4点、税の申告納付期限の延長など

安倍総理は会見で中小の業者に出来る限りの支援を行うことを表明した。それを受けJFなどに対し、自民党から現在の状況の説明と、政府に何を望むかに関してのヒアリングの場が設けられる。JFでは以下の4点を含む複数の要望を示す意向だという。

(1)飲食店の運転資金、つなぎ資金の緊急融資
(2)法人税、消費税などの税金の申告納付期限の延長
(3)2022年10月と2024年10月から開始予定の、パートの社会保険適用拡大を最低5年遅らせる
(4)こうした事態に備え、外食事業者が取るべき行動のガイドライン作りへの協力

(1)については雇用調整助成金を活用し、支援を実施することが明らかにされたが、それだけでは中小事業者をカバーするのに十分ではない。融資が遅れたり、十分でなかったりすれば、店を維持できなくなる者が続出する可能性がある。そこで、銀行から運転資金を融資できるような仕組みを作るよう求めるものである。なお、安倍総理は3月7日に中小企業を対象に実質、無利子・無担保となる融資を行うことを表明。JF側としては、それを踏まえての要望となる。

(2)は、すでに個人や個人事業主の税金の申告納付期限は通常3月16日のものが4月16日まで延長されてはいるが、中小企業で経理担当者が感染すれば、経理業務・決算業務が滞る可能性も出てくる。そのため個人や個人事業主と横並びにすることを求める。

以後は、今後の対策と考えていい。(3)は保険料負担を回避するため年収が被扶養認定基準(年間収入130万円)を超えないよう、働く時間などを調整する傾向が見られることへの対策の実施を遅らせることを求める。そのような就業調整を防ぎ、社会保険の適用拡大となれば、事業者への負担が一気に増える。新型コロナウイルスで体力が弱った中小の事業者には致命的なダメージとなりかねない不安があり、延期を求める趣旨。

(4)は同様の事案が発生した場合に、今回のような危機的な状況を避けるためのシステム作りに政府としても協力してほしいというものである。

以上のように緊急策として(1)と(2)を、このピンチを切り抜けられた場合、将来に備えて(3)と(4)を申し入れる。会員の声を受け、さらに要望を増やす可能性もあるという。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

飲食店は衛生管理に全力、「安心してご来店を」

JFでは会員(外食事業者)から感染者が出た場合の対処などについて個別の問い合わせがあれば、出来る限りの対応をする。しかし、状況がここまで悪くなると、事業者の自助努力だけでは解決できない。この先、政府・国民に対してどのようなことを望みたいかを聞いた。

政府(行政)に対しては「今できることの措置を最大限、やっていただきたいと思います。こちらとして出す要望を実現していただきたいという思いです」と行政の強力な支援を求めた。また、外食事業の利用者である国民に対しては「外食店舗としては衛生面を含め、お客さまをいつでもお迎えできる態勢を整えており、接客についてはマスク着用も増えています。衛生面に気をつける店舗がほとんどなので、安心してご来店いただきたいと申し上げたいです」と口にした。

なお、外食事業者に対しては「頑張れというのは、自分の力でどうにかなる問題ではないので、軽々しく言えません。それだけ事態は深刻だということを分かっていただきたいと思います」と話した。

【一般社団法人日本フードサービス協会】
日本の外食産業の発展と、豊かな食文化の創造に貢献するべく、農林水産省(当時は農林省)の認可を受け、1974年(昭和49)に設立。加盟社は正会員、賛助会員を合わせて約800社で、外食産業関連で最大規模の組織。所在地は東京都港区、会長は髙岡慎一郎氏。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/