最低賃金、「コロナ影響」で東京・大阪は据置き。全国平均は1円増、飲食店も対応を
厚生労働省の「中央最低賃金審議会」は8月21日、2020年度の都道府県別最低賃金の改定額を公表した。全国平均の時給は現行より1円増の902円。10月から順次引き上げられる。
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新型コロナの影響から審議会は最低賃金引き上げの目安を示さず
最低賃金は、企業が従業員に支払わなければならない最低限の賃金。パートやアルバイトといった雇用形態や呼称にかかわらず、原則として企業で働くすべての労働者に適用される。
例年は、厚生労働省の審議会が引き上げ額の目安を地域ごとに提示。それをもとに各都道府県が議論し、実際の引き上げ額を決めている。しかし、今回は新型コロナウイルスの感染拡大が経済に大きな影響を与えたとして、現行の水準に据え置く方針を示し、各都道府県に判断を委ねていた。審議会が目安を示さなかったのは、リーマン・ショック後の2009年度以来、11年ぶりとなる。
2020年度の最低賃金は全国平均902円に。東京、大阪は据置き
都道府県が実情を踏まえて議論した結果、40県が1円から3円の引き上げを決めた。全国の加重平均の時給は902円。昨年度より1円上昇した。最高は3円の引き上げで、青森、岩手、山形、徳島、愛媛、宮崎、熊本、鹿児島、長崎の9県。千葉や埼玉など14県が2円、神奈川や福岡など17県が1円引き上げる。一方、北海道、東京、静岡、京都、大阪、山口、広島の7都道府県は据え置いた。
最高額は変わらず東京の1,013円、最低額は792円
2016年度から4年連続で年率3%以上の大幅な引き上げが続き、2019年度は全国平均で27円上昇。しかし、今回は1円増にとどまり、2004年度以来、16年ぶりの低水準となる。
引き上げ後の最高額は東京の1,013円。次いで、神奈川の1,012円、大阪の964円。1,000円を超えるのは昨年度と変わらず東京と神奈川のみ。最低額は秋田県、鳥取県などの7県で792円だ。今回、最低賃金の地域間格差を縮めるため、東北、北陸、四国、九州のすべての県が引き上げた。東京が据え置いたことで、最高額と最低額の差は221円となり、現行より2円縮まる。
新しい最低賃金額は10月より順次適用される。最低賃金を下回った場合には罰則もあるため、今働いているスタッフの給与の確認、見直しを早めに行なっておきたい。