飲食店は円安による物価高騰にどう対処する? 経済学者が今後の見通しを解説!

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飲食店は物価高にどう備えるべきか?
食材高騰の主な要因として円安とロシアのウクライナ侵攻、貿易赤字があり、いずれも先行きは不透明だ。欧米に比べて価格の上昇率はまだ低いわが国ではあるものの、企業が何らかの負担を被るかたちで吸収しているのが実情だ。いずれ企業が吸収できる限界を迎え、欧米並みの食材高騰に直面する事態も想定するべきだろう。飲食店は今後、どのような対策を講じればよいのか。
「例えば原材料費が20%上昇したとしましょう。その対策として、飲食店側は7~8%の値上げを行うとします。残りの12〜13%はDXを活用して業務効率化を図り、賃金の伸びを抑制するなどほかの経費を抑えることで原材料の上昇を補う。こうした対処法が現実的ではないでしょうか」
また、今後の展望として小黒氏は次のようなヒントを示す。
「飲食業では、牛丼や回転寿司など、競争が激しいところは価格を上げにくい。一方、顧客に対して絶対の自信を持っているメニューであれば、10%の価格上昇も強気でできるでしょう」
たとえ絶対の自信があるメニューがなくても、体力があるうちに自らの経営をしっかり分析することが重要だと小黒氏は強調する。
「自社の強みが何で、どこをより磨けば競争力が増すのか。体力があるうちにDXを導入してデータ分析を行い、販売戦略に活かすことが重要です。体力がなくなったらそうした分析すらできなくなります」

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海外展開や、国内に新たな市場を開拓するなど新しいマーケットを求める取り組みも有効だ。
「地方を巡ると、お酒や食材、メニューなど、まだ全国的に知られていない魅力的な『食』に出合うことがあります。そうしたものを扱っている経営者なら、インターネットやSNSを通じて広め、マーケット拡大を試みるのもいかがでしょう」
かつてない食材高騰にどう向き合うか。
「こうした変化は、既存の秩序が大きく変わる時でもあります。企業努力でコストを下げてきたというのは、2000年代に入ってから飲食業を含む多くの企業で行われてきた『ありふれた』取り組みでした。正直いって、そこに革命的なアイデアを費やしたとはいえないのではないでしょうか」
直面する食材高騰では、これまでとは違った取り組みが求められる。
「品質の中身を見直すなど、抜本的な改革を行う。そうすることでこれからの波に乗ることだってできる。経営者の手腕がこれまで以上に問われることになるでしょう」と小黒氏は締めくくった。
