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老若男女を虜にする『酒トナデシコ七変化』。SNS映え重視の“ネオ大衆酒場”と侮るなかれ!

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1階の立ち飲みスペース。お客からスタッフへの「一杯どうぞ」の声がけも日常茶飯事だとか

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「厳しすぎるコントロールはしない」。過去の失敗体験からスタッフ育成の方針を見直し

若い世代に一任するという方針は、志方さんの過去の失敗体験が元になって生まれたという。

志方さんのキャリアスタートは料理人だった。その後、錦糸町の名店『銀シャリ原始焼き食堂 ロビン』などを運営するライナ株式会社の役員として、複数の飲食店立ち上げに従事。叩き上げの時代を経て、大きな責任を担う立場になった志方さんは、かつて自分が育てられた頃のように、後輩のスタッフへも厳しい態度をとってしまうことがあったと話す。

「もちろん緊張感を持って仕事をしたり、ときに厳しい指導をすることは、店の売上をつくる上では大切です。でもそれだけでは楽しくないし、いつかお互いに限界がきてしまう。だから厳しすぎるコントロールはやめました。飲食業界で頑張りたい意欲のある若者を、経験のある経営陣が影からサポートする体制が双方にとって一番いい。いつもみんなに助けられていることに、感謝しかないです」

こうした心境の変化はコロナ禍がきっかけだったという。飲食業界全体が盛り下がり、ひっ迫した状況に陥ったことで、本当に大切なものを見つめ直す機会ができた、と志方さんは話す。

「今私がスタッフに厳しく伝えることがあるとすれば、それはスタッフ同士のコミュニケーションで、言葉選びや態度が気になるときだけ。ベテランのスタッフにありがちなことだと思いますが、きつい言い方をするよりも、笑顔でフォローできる人のほうが、魅力的だと思うので。みんな理解してくれていて、いつもいい雰囲気で仕事していますよ」

広々した2階席は2〜3名グループの女性客で賑わう。スタッフが描いた看板やイラストなど店内装飾にもセンスが光る

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5月には『ロビン2号店』をオープン。人と人とのつながりが新たな事業の第一歩に

コロナ禍においては、身近にいる人、一緒に働いてくれる人を守るためにも、新しい挑戦がしたかったという志方さん。

まずは『銀シャリ原始焼き食堂 ロビン』の立ち上げから苦楽をともにしたパートナーである足達毅一さんとともに、ライナ株式会社からの独立を決意した。その後、同じく仕事仲間だった朝日雪月さんも同様の考えを抱いていると知り、合流。彼女の仕事への熱意に惹かれ、『酒トナデシコ七変化』のオープンをともに計画したという。朝日さんは現在の店長だ。

「私が独立する際、ライナ株式会社の小川雅弘社長には『ロビン』を引き続き運営できるよう、経営を業務委託に切り替えるという形で支援してもらいました。また『酒トナデシコ七変化』の開店時には、株式会社アマノクリエイトの天野恵太社長と店探しから一緒に行い、協業出店とさせてもらったんです。こうしたご縁に恵まれて今があることに大変感謝しています。今後もし、当社から独立したいという人が出てくれば、私も同じように力になりたいですね」

今後も若者の活躍の場を広げるため、1年で1店舗ずつ、計5店舗までは着実に店舗数を増やし、労働環境の整備に努めたいと話す。

目を引く暖簾や店頭看板。店名にちなみ、暖簾はデイリーで七変化する。より親しみやすく入りやすい酒場を目指し、日々改善中だという

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来月には『ロビン2号店』として錦糸町への出店が決定している。志方さんは「『酒トナデシコ七変化』の要素をミックスした賑わいのある店にしたい」と話してくれた。

料理人として、経営者として、さまざまな飲食業態を成功させてきた志方さん。そのノウハウを基盤に、若いスタッフならではの視点やパワーを前面に活かすことで、その店にしかない魅力をつくりだしている。飲食業界の次世代を描くという意味でも、その存在感はますます大きくなるに違いない。

『ネオ大衆居酒屋 酒トナデシコ七変化』
住所/東京都文京区本郷2-39-2 番場ビル
電話番号/03-6240-0984
営業時間/17:00~23:30
定休日/不定休
席数/30

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。