赤羽『立ち飲みいこい』、低単価の“せんべろ店”でも月商1,000万円を叩き出せる理由とは
酒屋経営だから安くできる、わけではない
千円でべろべろに酔える=“せんべろ”の聖地と呼ばれる『立ち飲みいこい』。昨今の物価上昇に伴う値上げを行ってもなお、焼酎ハイボールが230円、もつ煮込みが150円など、すべてのメニューが安い。
「『安いのは経営が酒屋で酒を安く仕入れられるからでしょ?』と思われがちなんですが、実は『いこい』への卸価格はアサヌマが卸しているほかのどの店よりも高いんです。『いこい』だけ安く卸してしまうとほかのお店さんに示しがつかないですから。ドリンクに関しては本当に利益率が低いので、フードを食べていただいてなんとか全体の原価率を30%前後にキープできています」
そのフードメニューを安く提供できている理由はとてもシンプルだ。
「たとえばその日きゅうりが高ければ買わないといった具合に、食材の値段を見て仕入れるかどうかを決めています。要は、採算がとれなさそうであれば買わないというだけのことです。『立ち飲みいこい』には常時、メニューが70種類ほどあるので、仕入れがなくて数品出せなかったとしても営業が成り立たないということはありません」
また、長年営業していることで、仕入れを行う様々な業者と予算感の意思疎通ができている点も価格を抑えられている理由だという。
「魚の仕入れはオープン当初から築地市場で行っていて、豊洲市場に移転した現在も通っています。最初の買い付け担当が30年ほど通い、現在の店長の西野が引き継ぎました。市場の皆さんとは長い付き合いなので『いこいさんならこれくらいでしょ?』と、高すぎる品は避けて、その日安い食材を勧めてくれるのでありがたいですね」
顧客も社員も大切に
本店も支店も好調な『立ち飲みいこい』。今後の展望について聞いた。
「本店と支店できっちり売上もあるので、現状では積極的にチェーンやフランチャイズ展開をしようとは考えていません。ただ、赤羽から近い王子や川口あたりでいい物件があれば次の店を出してもいいかなとも思っています。急いではないけど出せるなら出したいなという感じです」
その理由は、卸から配送などをしている社員が、体力的に厳しくなった際のセカンドキャリアとして『いこい』という場を用意したいからだそう。「お客様も大切ですが、やっぱり社員あっての会社ですから」と広瀬氏は話す。
