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鎧塚俊彦氏手掛ける『一夜城 ヨロイヅカファーム』水野料理長に学ぶ。「選ばれる店」の作り方

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『一夜城 Yoroizuka Farm』オープンと同時に入社し、2015年1月より料理長を務める水野範一氏

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目まぐるしい時代の変化とともに、消費者が飲食店に求めるものも変わってきた。とりわけ「体験」という価値が見直されている今、飲食店選びの基準も単に「料理がおいしい」だけではなく、心地よい空間やサービス、充実した時間を過ごせることが重視されるようになってきている。そこで本稿では、都心から離れた小田原の郊外にありながら、リピーターや目的来店のお客様で連日賑わう『一夜城 Yoroizuka Farm(ヨロイヅカファーム)』料理長・水野範一氏に、選ばれる店づくりの極意について取材した。

コンセプトは「地産地消」。小田原の美味を存分に味わえる『一夜城』

小田原合戦の際、豊臣秀吉が築いた「石垣山一夜城」の跡地そばに2011年に開業した『一夜城 ヨロイヅカファーム』。日本を代表する名パティシエの鎧塚俊彦氏が、「地産地消」をコンセプトに一次産業とも連携して運営する新しいかたちの飲食施設だ。相模湾を望む広大な敷地に、パティスリー、カフェレストラン、マルシェが並び、飲食や買い物、散策を楽しめるスポットとして観光客にも人気で、多い日には400人以上が訪れる。

カフェレストランは26席。木の温もりを活かした雰囲気

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カフェレストランのランチでは、目の前の果樹園で栽培するみかんなどの果物やハーブ、野菜をはじめ、早川の漁港から仕入れる魚介類や、小田原産のジビエなど地元の食材を積極的に使用している。「小田原は新鮮な食材が手に入るので、料理人として刺激のある毎日。同じ野菜でも農家さんによって味わいが違うので、それぞれに対してどうアプローチするかを考えるのが楽しい」という水野氏。ホテル仕込みの確かな技術で生み出される料理は、素材を活かした繊細な味わいが評判だ。一方、カフェタイムには、オーダーごとに仕上げるデザートを堪能できるほか、天気のよい日は風光明媚な景色を目前に、ケーキやパンをテラスで楽しむことも。こうした「ここでしかできない体験」が、遠方からも足を運ばせる理由となっている。

小田原産を中心に旬の食材をふんだんに用いたランチ。とりわけ季節のスープはファンが多いメニュー

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「また行きたい!」を生む、非日常のなかの上質なリラックス

非日常的な体験を求めて来店するお客の中には観光客はもちろん、地元のリピーターも少なくない。レストランの料理からサービスの統括までを手掛ける水野氏は、「お客様に喜んでいただくことを第一に考え、かしこまった本格フレンチというよりはカフェレストランの雰囲気で、肩ひじ張らずに料理を楽しめる空間をめざしています」と説明する。

「カジュアルに楽しい時間を過ごしていただきたいので、接客はどちらかというとフレンドリーな雰囲気です。マニュアルはなく臨機応変な対応が求められるので難しさはありますが、いつもスタッフに伝えているのは、お客様が何を求めているのかを感じ取って接客をしてほしいということです」と水野氏。「私自身、人前に出るのは苦手なのですが、客席に挨拶に行くとお客様がとても喜んでくださいますし、顔見知りのお客様が増えて、直接予約の連絡をくれるようにもなりました。長くお店を続けていくには、お客様との信頼関係も大事だと感じています」

水野氏は、ヒルトン東京にて8年、ヒルトン小田原のオープニングより7年間勤務し、シェフ・ド・パルティ(部門シェフ)を務める。「お客様の『おいしい』やお褒めの言葉が何よりのやりがい」と語る

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快適な飲食空間のために。「テーブル環境を整える」ことの重要性

お客に心地よく食事を楽しんでもらうためには、テーブル周りの環境を整えることも大切だという。水野氏は、「お店が狭いので、客席間が近くお客様には少し窮屈な思いをさせてしまっているのが申し訳ないと思っています」と前置きした上で、「たとえば、できるだけテーブルをゆったり使っていただけるように、カトラリーは最初にすべてセットするのではなく、料理を出すたびに差し替えるなどの配慮をしています」と説明。

さらに水野氏自身、外食の際に気になるポイントとして、テーブルのがたつき問題を指摘する。「テーブルががたついていると、気になってせっかくの料理に集中できなくなってしまいますし、飲み物がこぼれやすいなどのリスクも高くなります」。そこで同店が導入しているのが、がたつきを自動で抑制してくれるツール「ティ・バランス」だ。

自動調整テーブルアジャスター「ティ・バランス」が装着された『一夜城 Yoroizuka Farm』のテーブル。アジャスターが内蔵された角・丸ベースの脚にも使える

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■装着するだけでテーブルのがたつきピタリ。レイアウト変更もラクラク
テーブルのがたつきは、床材の材質やテーブルそのものの反りや歪みなどで起こることが多い。だが、テーブルの数が多い飲食店では、一つひとつのテーブルを毎日チェックし、調整するだけでもひと苦労。こうした作業がスタッフの負担になることも少なくない。

「ティ・バランス」は、既存のテーブル脚のアジャスターを外して装着するだけで、数秒でがたつきを止めてくれる「自動調整テーブルアジャスター」だ。工具不要で、ほとんどのテーブルに取り付けることができる。

テーブルの脚の形状に応じて、必要な個数を取り付けられる。写真は、「ティ・バランス」ネジタイプ(4脚用)可動部1個仕様。1脚分(1セット)から購入が可能なので、個人店でも導入しやすいほか、大手カフェチェーンなどでも採用されている(5脚、6脚、8脚のテーブル脚、角・丸ベースの脚にも対応) ※画像提供/株式会社ティ・カトウ

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自動でがたつきが止まる理由は、「油圧ダンパー方式」と呼ばれる仕組みにある。可動式のアジャスター内部には下図のようにオイルとスプリングが仕込まれており、テーブルに荷重がかかると沈み込み、逆にテーブルの脚が浮いていると伸びる仕組みになっている。つまり、アジャスターそのものが床の凹凸に合わせて自然に伸び縮みするため、取り付けるだけでテーブルのがたつきが解消するというわけだ。

「油圧ダンパー方式」のアジャスター可動部は、常に荷重バランスをとろうとするため自然に伸縮し、それぞれの脚にかかる荷重が等しくなると止まる。この仕組みによって、自動的にテーブルのがたつきが抑えられる ※画像提供/株式会社ティ・カトウ

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そのため、木質材などの質感床材、タイルやレンガのような凹凸のある床材でも、がたつきを抑えることが可能。しかも床との接地面は丸みを帯びた形状になっているため、ちょっとした段差などに引っ掛かりにくく、テーブルの移動も簡単だ。

■小さいようで大きいスタッフの業務負担を軽減。接客力の向上にも

開店から11時までは朝のカフェ営業。その後のランチでは、予約人数に応じてテーブルを移動。さらに15時からは午後のカフェ営業になるため、再びレイアウトを変更する

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『一夜城 ヨロイヅカファーム』は、開業して10年以上経過していることに加え、床材が木でできている。水野氏いわく「こまめに調整しても、どうしてもがたつきが生じてしまっていました。テーブルセッティングはホールスタッフとパティスリーの販売スタッフが協力して行っていますが、物販もオープンから行列が絶えず、かなり忙しいんです」とのこと。そんななか、移動のたびに1卓ずつテーブルの脚を調整する作業は、スタッフにとって大きな負担になっていたという。

『ティ・バランス』を導入したことでスタッフの業務負担を軽減できたのはもちろん、その分より接客に力を注げるようになりました。スタッフも喜んでいますし、テーブルも長く使える。本当にありがたいです」(水野氏)

「『一夜城 ヨロイヅカファーム』はカフェとランチで客席のレイアウトを変えるため、1日のうちに何度もテーブルの移動作業がある」と話す水野氏

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お客の要望を感じ取り、主体的に動く行動で「選ばれる店」に

料理や空間、サービスなど、お客が飲食店選びで重視するポイントはさまざまだが、「また利用したい」「他人におすすめしたい」と思わせる店に共通しているのは、常にお客の気持ちを想像して寄り添い、あらゆる面で心地よい時間を提供できるよう努力する姿勢だ。『一夜城 ヨロイヅカファーム』においては、テーブル環境の整備もその一例だろう。

また、多くのリピーターを得るためには、スタッフ一人ひとりがお客のニーズを的確につかみ、主体的に行動できるかどうかが重要。『一夜城 ヨロイヅカファーム』の場合も、水野氏がスタッフに逐一具体的な指示を出すというよりも、スタッフそれぞれが自ら想像力を働かせ対応できるような声掛けを行っていた。マニュアル通りのオペレーションではなく、自分だったらどう感じるだろう?という視点とアクションこそが、選ばれる店づくりにつながるはずだ。

■「T.balance(ティ・バランス)」の製品概要はこちらから

■取材撮影協力:『一夜城 Yoroizuka Farm(ヨロイヅカファーム)』
住所/神奈川県小田原市早川1352-110
電話番号/0465-24-3150
営業時間(レストラン)/<カフェタイムⅠ>10:00~10:50(L.O.10:30)、<ランチタイム>11:15~13:00(1部)13:30~15:00(2部)、<カフェタイムⅡ>15:00~17:00(L.O.16:00)
定休日/火曜日
席数/26

[提供] 株式会社ティ・カトウ

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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