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坪月商57万円を誇る渋谷『CHOWCHOW』。ナチュラルワインで心をつかむ、たった一つの条件

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料理のクオリティを譲らず、FL率70%で会社と交渉

4年目に入った今も、店のコンセプトや雰囲気は変えていない。同じくナチュラルワインを扱う姉妹店『PEZ』ができたことで、シフトや仕入れの自由度も広がった。

『CHOWCHOW』オープンのとき、山田店長が会社に力説したのは「ナチュラルワインは原価の高い商材である」ということだ。その時点で「しっかり利益は出すので、FL率は最大70%まで大目に見てほしい」と交渉している。

「スタッフは平日が6人、週末は7人。人件費 は30%です。FD 40%の内訳は、フードが30%後半、ドリンクが40%前半。たまにぶれますが、FL率の基本は60%台後半から70%です」(山田店長)

山田店長が着ているのは、この日のサービスで入る2号店「PEZ」の制服

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なぜ、『CHOWCHOW』はお客さんから支持されるのか。荒井料理長は「この料理とナチュラルワインがあるから絶対に来る、といった感覚はまるでない」と話す。

「スタッフたちは好きなものに対して集まっているので、みんなが同じ価値観を持てている。そこがお客さんからの評価につながっていると思うんです」(荒井料理長)

山田店長も「同じ方向を向いているからこそクオリティがぶれない」と続ける。

「流行を追っているのではなく、ナチュラルワインが純粋に好きだからこの店をやっています。スタッフの『根っこから好きな気持ち』がお客さんに届いている手応えがある。カジュアルな雰囲気ですが、私たちは1杯1,000円以上をいただくお飲み物を提供していますから、全員が真剣にグラスへ注いでいます」(山田店長)

ウンターから見た仕込み風景。キッチンとの距離感も魅力

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自分たちが大好きなもの、本当に価値を見出しているものを「届けたい」という姿勢は、料理の質やサービスの細やかさに表れ、それがゲストの心をガッチリとつかむ。ナチュラルワインを主役にした店を成功させる条件とは、そんな「真っ当さ」を備えることなのだろう。

最後に、これからやりたいことを二人に尋ねた。

「韓国から来てくださるお客さんが多く、みなさんお店で喜んでくれます。だから今年は僕が韓国に行ってみたいですね。どこかの店でポップアップ的に『CHOWCHOW』の名前でやるとか。良いお店も増えていると聞くし、なにしろ近いですから」(荒井料理長)

「まもなく近所に15坪くらいの3店舗目をオープンさせるので、マネージャーの立場として軌道に乗せたいです。もちろんナチュラルワインを出します。まだジャンルを決めていませんが、もう少しカジュアルダウンした業態になる予定です」(山田店長)

ナチュラルワインを扱えるサービスマンを社内で育て、世の中に増やしていく。そんな狙いも新たな出店にはある。

「例えば『CHOWCHOW』で何年か働いた先のキャリアも相談に乗ってあげたい。単なるお金儲けのためでなく、そういう人たちの経験の場を増やすために新店を立ち上げようとしています」(荒井料理長)

「同じ店だけに留まってサービスマンや料理人の2番手、3番手をやっていると、給料はもちろんのこと、経験も増えません。自分がトップを任された環境ではキャリアアップとスキルアップが計れるし、さらに結果を出せば収入も上げられます。僕一人では実現できませんが、この場所からみんなで飲食業の人材育成を前に進められると嬉しいです」(山田店長)

『CHOWCHOW(チャウチャウ)』
住所/東京都渋谷区宇田川町37-14 WHARF渋谷宇田川町1F
電話番号/03-6407-0163
営業時間/17:00〜23:30 (L.O. 22:30)
定休日/日曜
席数/29(ほかに屋外テーブル3台)
https://www.instagram.com/chow_chow_shibuya/

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神吉弘邦

ライター: 神吉弘邦

経済誌『Forbes JAPAN』、デザイン誌『AXIS』、建築誌『商店建築』、カルチャー誌『BRUTUS』などに寄稿するフリーランス編集者。コロナ禍で飲食店のありがたさに気づき、料理の奥深さにも開眼。メディア取材や企業コンサルティングのかたわら、現在「あて巻き」発祥の寿司居酒屋でも修行中。実家は仕出し屋。