飲食店ドットコムのサービス

坪月商57万円を誇る渋谷『CHOWCHOW』。ナチュラルワインで心をつかむ、たった一つの条件

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

左から『CHOWCHOW』店長/GREENING企画運営事業本部シニアマネージャーの山田隆未さん(34)、同料理長の荒井清成さん(48)

画像を見る

商業施設のマスターリースやプロパティー・マネジメント、イベント開催を担う株式会社GREENINGが直営する飲食事業が好調だ。象徴的なのは2020年8月、本社ビルにオープンした『CHOWCHOW(チャウチャウ)』だろう。

『CHOWCHOW』はイタリアンベースのアラカルト料理とナチュラルワインが楽しめるレストラン。ディナー営業のみで、昨年度の月商は平均1,150万円(2022年11月〜23年11月の実績)、坪月商で約57万円を叩き出している。最寄り駅から徒歩10分かかる店が、これほど支持されるのはなぜか? どんな客層が、どこに魅力を感じて通うのだろうか。

【注目記事】「こんな店が欲しかった」を追求する繁盛店。経堂『今日どう?』の店づくり戦略

店内の活気がガラス越しに伝わる、大きな開口部のエントランス。手前の道路は一方通行、タクシーや高級SUVが頻繁に通り過ぎる(写真提供:CHOWCHOW)

画像を見る

若い世代の扉をナチュラルワインが開けた

渋谷の宇田川町・神山町エリアが「奥渋谷」と称されて久しい。代々木公園・代々木八幡方面とつながる細い道沿いには人気の飲食店が連なり、ナチュラルワインを提供するワインバーや小売店が点在する。その一角にあるのが、『CHOWCHOW』だ。

『CHOWCHOW』ではナチュラルワインをグラス1杯1,000円~1,500円ほどの価格帯で提供。量を測って注いだ後、ボトルと一緒に客席へ運ばれる。リクエストすれば、スタッフが銘柄や生産者についてフレンドリーに解説してくれる。

和食屋の居抜きという店内の席数は29席。平日6名、週末は7名のスタッフがキッチンと客席を行き来する(写真提供:CHOWCHOW)

画像を見る

山田店長にコアターゲットの客層を聞いた。

「20代後半から30代の女性が半数を占めます。若い人たちにたくさん来ていただけるのは、お店の入りやすさもあるからでしょうか。一方で、松濤にお住まいのお客様が気に入ってくださり、普段お飲みのワインとは別のワインを楽しもうと訪れたり、遅い時間にスウェット姿で一杯だけ飲みに来るご近所のお客様もいらっしゃったりします」(山田店長)

2010年代から、日本でも個人店を中心にナチュラルワインを扱う店が増加。2020年ごろにはSNSなどの影響により若者にも普及してきた。その結果、ナチュラルワイン愛好者の裾野が一気に広がり、ワインそのものが若い世代にとって身近な存在になったと荒井料理長は見る。

店を訪れるさまざまな職種や世代をつなぐのは、ナチュラルワインのある場を楽しもうとする気持ちだ。共通するのは「そのときに自分が飲みたいものがハッキリしていること」と山田店長は言う。

使用するワイングラスは1種類。エチケットの裏にボトルとグラス、それぞれの料金が貼られている。ドリンクのメニュー表は用意しない

画像を見る

17時オープン、ラストオーダーは22時半。終電前には店を閉める。平日は2回転弱、週末は80人から多い日は100人の来店がある。

「渋谷駅からも神泉駅からも同じくらい歩くので、ふらりと入るよりは『目的来店』がほとんどです。月によって上下するものの、客単価は7,000円~8,000円のゾーンより大きくブレることはありません」(山田店長)

認知経路は口コミがメイン。常連客が多いのもこの店の特徴だ。

「常連さんの来店頻度は、平均で月2回ほど。その場で次回予約を入れていただくことも多いです」(山田店長)

なお、リピーターの中には、2021年11月に同じビル内でオープンした2号店『PEZ(ペス)』と使い分ける人もいる。インバウンドは1割ほどで、毎日1組以上が訪れる。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
神吉弘邦

ライター: 神吉弘邦

経済誌『Forbes JAPAN』、デザイン誌『AXIS』、建築誌『商店建築』、カルチャー誌『BRUTUS』などに寄稿するフリーランス編集者。コロナ禍で飲食店のありがたさに気づき、料理の奥深さにも開眼。メディア取材や企業コンサルティングのかたわら、現在「あて巻き」発祥の寿司居酒屋でも修行中。実家は仕出し屋。