月商650万円を売る池尻大橋『ランタン』。フレンチ版の大衆居酒屋が業態開発のキー
大衆居酒屋のスタイルを定着させるためにワインをメニューから外した
アルコールメニューの柱であるハイボールは「角ハイボール」(520円)など520〜900円の価格帯で10種をラインアップ。「ミントハイボール」(650円)、「エルダーフラワーシロップのハイボール」(780円)などのオリジナルハイボールも用意してメニューバリエーションを広げている。
画像を見る今は本格焼酎の品揃えを厚くしており、550~700円を中心価格帯として18種を用意。一方、ワインは品揃えを絞り込み、グラス1000円~、ボトル6000円~の価格でそれぞれ3種ずつ揃えている。
「大衆居酒屋のスタイルを定着させるため、『ランタン』ではワインを置かない方針を採っていました。『メゾン サンカントサンク』の系列店と捉えられるとワインに注文が偏りやすく、そうなると大衆居酒屋らしさが損なわれてしまうと考えたのです。ワインをメニューに加えたのは2019年。これは『ランタン』のスタイルが確立されたと判断したことが背景になっています」(丸山氏)
画像を見るオープンキッチンとロングテーブルが居酒屋の賑わいを生み出す
フード、ドリンクの商品構成は2店の共通点も多いが、代々木上原店と池尻大橋店で大きく異なるのが内外装だ。
ビル地階に入居している代々木上原店はカウンターやテーブルの天板に古い床材を使用し、樹木やドライフラワーなどで店内を装飾してボタニカルな雰囲気を創出している。
一方、池尻大橋店はヨーロッパ建築を想起させる煉瓦張りの外壁とアーチ状の窓枠を備えた物件に入居。内装はややくすんだ白を基調色とし、著名なインテリアデザイナー・イサム ノグチの手による提灯をフロア中央に吊り下げるなど、独自の世界観を表現している。
画像を見る代々木上原店、池尻大橋店はいずれも大衆居酒屋のイメージとはかけ離れた店舗デザインだが、共通するのがオープンキッチンを採用していることと、代々木上原店は8人掛け、池尻大橋店は10人掛けのロングテーブルを設置していることだ。
「店づくりで重視したのがコミュニケーションの場として機能させること。お客様とスタッフの会話が生まれやすいようにオープンキッチンは調理台とカウンターテーブルの高さをフラットに設計。また、ひとつのテーブルを複数のお客さまでシェアすることにより、お客様同士が会話を交わすなど、大衆居酒屋らしい賑わいが醸成されるわけです」(丸山氏)