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“鶏焼肉”が連日満席のブーム! 見冨右衛門氏に聞く焼鳥業界のトレンドと攻略法

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チューリップと呼ばれる手羽中を使った「鶏の唐揚げ」(1,100円)は、フライドチキンのように外側がカリカリでスパイシーのため酒と合う

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客単価約9,000円で連日満席の大繁盛

集客について工夫した点を尋ねると「予約サイトの選び方は大事ですね」と振り返る。「僕はこれまで高単価のレストランしか経営したことがなかったので、最初は『鶏焼き肉 囲』も予約困難店に特化した『OMAKASE』を使っていたんです。そしたらオープン当初は集客に苦労しました。その後、『食べログ』に掲載し始めてから予約がだいぶ伸びて。Instagramも当初はあまり更新していなかったのですが、最近は毎日のように投稿して、地道にコツコツ露出を増やしています」

現在客単価は8,000円から1万円ほど。3月は取材日時点で1月の売上を上回ったといい、連日満席の繁盛ぶりだ。

「オペレーションが安定するまではお客さまの満足度を優先したいため、売上計画に達さなくてもいい」と話すが、1年後までには二回転を目指している。また「36協定を遵守しつつ、人員を確保できたら、週5日営業から365日営業に変えたい」と見冨右衛門氏は意気込む。

一面の窓の向こうに見える桜の木を主役にするよう、デザイナーと相談し柱を撤去。六本木では珍しい大箱で貸切需要も獲得。

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“鶏焼肉”を当たり前にして、寿司と同じように焼鳥が評価されるようにしたい

今後の焼鳥業界のゆくえについて尋ねると「寿司と天ぷら同様、今後は焼鳥も大衆料理から日本の食文化の一つとして評価されるようになるのではないかと思います。カジュアル店舗も客単価3,000円の焼鳥店だけでなく、鶏焼肉のような違った切り口で鶏肉を楽しむお店が今後は増えいくのではと期待しています」と見冨右衛門氏は推測する。

その上で「個人的には鶏焼肉文化を広めたいので、競合が増えて欲しいですね。現状、牛肉の焼肉店に行って『焼き加減がわからない』という方はそこまで多くないですが、鶏焼肉だとまだまだわからない方が多い。鶏焼肉の文化が東京でも当たり前になるよう、我々もその一助になれたらと思っています」と鶏焼肉文化の浸透に力を入れたいと話す。

さらに「若手の育成は今後も課題」と見冨右衛門氏。「焼鳥は、若い料理人の方々が仕事として選ぶジャンルにないのが現状です。例えば寿司やフレンチは専門学校もあるぐらい、若手のニーズもある。一方焼鳥は一人3,000円ほどで食べられる大衆食のような位置づけにあるので、初めから焼鳥店を目指したいという人は少なく、憧れのジャンルになっていない。そのため『鳥匠いし井ひな』では、大衆料理としての立場を脱却して寿司や天ぷらと同じ領域までいけるよう、焼鳥の可能性を広げています。今後もそういった焼鳥の地位向上にも寄与していきたいですね」と結んだ。

人手不足、健康志向の高まりなど、世の中の流れやニーズにうまく応える形で、まだまだ東京では少ない鶏焼肉というジャンルに挑戦した見冨右衛門氏。いまだ競合は少ないジャンルなので、鶏焼肉で新たな勝負をかけるのもいいかもしれない。

■クリエイティブディレクター/レストランプロデューサー 見冨右衛門
グルメをコンテンツにした様々な企業ソリューションビジネス(広告制作、コンテンツ開発、イベント、トップシェフのキャスティング等)に従事。宇宙食のプロデュースやレストランのプロデュースから経営まで担う。また、ラジオや雑誌等のメディアで全国のグルメ情報を発信。年間730軒以上の外食、うち600軒以上の新規開拓を続け、のべ8,000軒を越える飲食店へ訪問。現在も毎日食べ歩き、訪問店舗数を伸ばしている。そのすべての食事履歴をカレンダー方式で紹介するグルメサイト「食べある記」を運営。

見冨右衛門

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『鶏焼き肉 囲』
住所/東京都港区六本木7-5-11 カサグランデミワ2F
電話番号/03-6721-1927
営業時間/17:30〜22:30(L.O.22:00)
定休日/火曜
席数/46
https://www.instagram.com/toriyakiniku_kakoi/

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。