飲食店のインバウンド集客には「キャッシュレス決済」「Wi-Fi」の整備が効果的
日本政策金融公庫は9月30日、インバウンド対応に関するアンケート調査結果(生活衛生関係営業の景気動向等調査特別調査結果2024年4~6月期)を発表した。調査のひとつ「外国人観光客の受け入れに効果のあった取り組み」からは、飲食店にとっても有益な情報が得られた。
■調査の実施要領
調査時点:2024年6月中旬
調査方法:郵送調査
調査対象:生活衛生関係営業3,290企業
有効回答企業数:3,158企業(回答率96.0%)
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約3割の企業が「店の周囲で見かける外国人観光客が増えた」と回答
はじめに1年前と比べ自店の周辺地域で見かける外国人観光客の増減を質問した。「かなり増えた」10.6%、「やや増えた」21.6%となり、32.2%が「増えた」と感じていることがわかった。
地域別に見ると、「変わらない」と回答した上位は、北海道(47.1%)、沖縄(33.3%)、関東(32.9%)。一方、近畿、四国、九州で「増えた」と回答した割合が全国値を5ポイント以上上回った。定番の観光地に偏ることなく、国内に広く外国人観光客が訪れているようだ。
飲食店の約6割で外国人観光客の利用を確認
最近1年間の外国人観光客の利用の有無を尋ねると、「利用がある」と回答した企業は41.8%だった。業種別では、ホテル・旅館業が88.4%と最も高く、公衆浴場業(61.5%)、飲食業(57.0%)と続いた。
「利用がある」と回答したうち、全国(全体)より5ポイント以上割合が高かった都道府県は次の通り。
北海道(47.1%)、宮城(47.1%)、東京(54.5%)、富山(47.1%)、愛知(57.6%)、京都(56.9%)、大阪(61.5%)、奈良(52.6%)、島根(49.3%)、広島(52.2%)、山口(47.1%)、香川(47.%)、愛媛(55.7%)、高知(50.0%)、福岡(55.2%)、鹿児島(54.3%)。
「キャッシュレス決済の導入」「ネット接続環境の整備」に効果を実感
さらに、外国人観光客を受け入れるための取り組みを「実施している」と回答した企業に、外国人観光客の受け入れに効果のあった取り組みについて質問した。最も多かったのは「キャッシュレス決済(クレジットカード、デビットカード、二次元コード決済等)の導入」で45.4%だった。
これに「Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備(23.9%)、「メニューや施設内の案内等の工夫(21.0%)」、「翻訳機器等の導入/翻訳アプリを含む(16.4%)」、「HPや予約フォームの多言語対応(13.9%)」が続いた。
飲食業に限定した場合も、上位は「キャッシュレス決済の導入(50.3%)」「メニューや施設内の案内等の工夫(26.5%)」「Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備(19.4%)」がランクインしている。
外国人観光客の受け入れに前向きも、言語に不安
最後に、今後外国人観光客を「積極的に受け入れていきたい」「自然体で受け入れていく」と回答した企業に「外国人観光客を受け入れる際の課題」を尋ねた。これについて「店舗内の案内表示、メニュー表等の多言語対応(36.2%)」、「多言語に対応ができる従業員の確保(25.4%)」に次いで「キャッシュレス決済の導入(15.6%)」が課題点のトップ3となった。
経済産業省は2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%で、政府目標の2025年4割達成に向けて堅調に上昇していると発表している。今回の調査では、外国人観光客受け入れに関し、キャッシュレス決済の整備が効果的であると明らかになった。一方で、飲食業では必要性を感じながらも、導入にいたっていない傾向にある。飲食店事業者はインバウンドの集客策のひとつとして、キャッシュレス決済導入を検討してみるのもいいだろう。
