人気居酒屋・恵比寿『amme』の型破りな成功。“3つの戦略”でグループ年商3億円超!
型破り② 無理なく高収益! 脱・大繁盛店の経営哲学
利益を社員に還元する一方、「目標月商を達成したらそれ以上は目指さない」という方針を採用。「年間平均で目標を100%達成中」という各店売上は、恵比寿『amme』が月550万~600万円、2号店『sqall(スコール)』が月500万円、3号店『kosamme(コサメ)』が月700万円。この状況を維持できれば、過度な繁盛は不要だ。
「目標を120%、150%と上げるほど従業員が疲弊します。健康が損なわれれば顧客満足度も下がります」
佐藤氏が掲げる繁盛店の定義は「継続性の高い店」で、具体的には「営業利益100万円以上、従業員給与35万円以上」。努力と成果に見合った報酬を重視するビジネス構造だ。
現在、年収700万~800万円の店長が3人。2025年7月と8月にオープンしたカラオケバー『EBISUCLASS』(恵比寿)や『スナック ただいま』(代官山)の責任者(業務委託)も含め、20代半ば~30歳前後の社員の平均年収は700万円を超える。
「僕の下積み時代は年収300万円未満でした。隔世の感がありますね。あとは各店の責任者の負担を軽減するために、本部も設立しました。事務作業やSNS更新などの細かいバックヤード業務は本部に任せ、店舗のスターたちは営業に集中してほしいので。創業1年目から活躍してきた女性スタッフに『育休・産休明けに働ける環境を用意する』のも、設立のきっかけでした。本部には月120~130万円のコストがかかりますが、結果的に売上向上につながっています」
役員3名、正社員12名、業務委託5名という事業規模ながら、大企業並みの環境を実現できる背景には高い営業利益率がある。その詳細は、2024年に掲載された記事「中目黒『kosamme』の高収益モデルをひも解く」で紹介した通り。当時から営業利益率30%だった『kosamme』に加え、現在は他の2店舗も28%以上の利益率を誇る。
型破り③ 夢は自由! 会社は踏み台でもよい
そんな佐藤氏が経営者として掲げるルールは2つだけ。「個性を最大限に尊重する」と「価値観を強要しない」ことだ。
「社長の信念は幹部が共感すればいい。社員は良い環境で働ければ十分。働く理由は『稼いで旅行に行く』でもいい。夢はなくても輝けます。『どう生きてきたか』の方が大切で、信念を持った人と一緒に働きたい。その信念から生まれる個性を引き出すのが幹部の役割です」
社員との関係は「毎日お互いがトライアウトの状態」と語る佐藤氏。目標や約束はSNSで発信し、自らプレッシャーをかけるという。
「僕はかなり大胆な約束を掲げますが、やっぱり達成できないと批判されます。もちろん大体は達成してきましたが、『社員の給料アップ』が目標に届かなかった時は全力で謝りました(笑)。1年では無理だったので、時間をくださいと」
社員の要望を反映し、忘年会以外の社員旅行やレクリエーションは行わず、金銭による利益還元を徹底している佐藤氏。「夢を持つことを強要はしないが、夢がある社員は全力で応援します。会社なんて踏み台くらいに思ってくれればいい」と語る姿勢に、器の大きさがうかがえる。
「自分の夢というか、目指していきたいのは『人々の笑顔が溢れる場』を作ること。この前、家族で訪れた銭湯がまさにそういう空間で、最高に楽しかったんですよ。新しい時代の銭湯を作って、世代を超えた笑顔を生み出したい! 笑顔があふれる場所をつくるクリエイター集団を目指したい! なんてことを今は考えていますが、夢は生き物、変わるものです。今後も色々と変化するんだと思います」
個性豊かな『amme』のメンバーに囲まれ、ひときわ輝く佐藤氏。今後も周囲を巻き込みながら、新たな挑戦を続けるのだろう。多くのファンを惹きつける彼自身のスター性こそが、急成長を続ける一番の原動力に違いない。
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『amme(あめ)』
住所/東京都渋谷区恵比寿西1-3-2 恵比寿テラスビル1-B
電話番号/03-6452-5474
営業時間/17:00~23:30(土曜17:00~23:30、日曜・祝日16:00~23:00)
定休日/不定休
坪数・席数/13坪24席













