10月30日は「食品ロス削減の日」。飲食店とお客の両方にメリットのある対策とは?
「食品ロス削減推進法」に基づき、10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」と定められている(参考1)。日本では多くの食品が廃棄されている実状があり、飲食店や消費者、自治体などが連携した削減推進が求められている。本記事では、食品ロスの現状と、飲食店にできる対策を紹介する。
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日本の食品ロスは2023年度で約464万トン
環境省の推計によると、日本の食品ロスは2023年度(令和5年度)に約464万トン発生したとされる(参考2)。家庭からの食品ロスは約233万トン(うち直接廃棄が100万トン、食べ残しが97万トン)、事業者からの食品ロスは約231万トンだ。このうち約66万トンが外食産業から廃棄されている。
こうした背景から「食品ロス削減月間」と「食品ロス削減の日」が設けられ、国も食べ残し対策として「食べ切り」を推奨する活動などを行っている。
直近1年間で、ご飯を食べ残した経験がある人は41.6%
鈴茂器工株式会社が行った「外食利用時のご飯(お米/ライス)の食べ残しに関する調査」(2025年)によると、直近1年間に外食でご飯を食べ残した経験が「よくある」(3.6%)、「たまにある」(14.6%)、「ほとんどない」(23.4%)を合わせて41.6%に上った。
また、食べ残し経験がある人に、残した時にフードロスや環境問題を意識するか尋ねたところ、「強く意識する」(29.2%)と「少し意識する」(49.1%)を合わせ、78.3%の人が何らかの意識を持っていると回答している。
提供されるご飯の量についても、「多いと感じる」が19.2%、「少ないと感じる」が20.4%と、合計39.6%の人が提供量とのギャップを感じていたようだ。さらに「多い」と感じる人の半数以上があらかじめご飯を少なめに注文し、「少ない」と感じている人はおかわりをするなど、双方が量を調整する行動をとっていたことも明らかになった。
飲食店に求められる「適量盛り」と「量の調整」
これらの調査からもわかるように、食品ロス削減を推進するために飲食店に求められているのは、「適量に盛る」ことと、「お客が量を調整できる」という2つの対策だろう。
実際に、同調査で「提供されるご飯について、出来たらいいなと思う点」(複数回答)を尋ねたところ、「自分の食べたい分だけ適量に盛れる/調整できる」が36.7%で最も多かった。また、フードロスを意識する層では「提供される前に、ご飯の量の目安がわかる」が29.1%で2番目に多くなっている。
飲食店側の取り組みとしては、料理の量がわかる表示や、量を調整できるメニューの採用、オーダー時に量についてコミュニケーションをとることなどが考えられる。衛生上のリスクなどを伝えたうえで、食べ残しの持ち帰りを可能にするといった選択肢もあるだろう。こうした取り組みは、廃棄コストの削減や仕入れ量の適正化につながり、環境への配慮と経営効率の向上を同時に実現できる可能性を秘めている。
自治体も本格始動、東京都の「食品ロスゼロ」キャンペーン
こうした食品ロス削減に向けた動きは、国だけでなく各自治体にも広がっている。
例えば東京都では、令和7年10月30日から12月末までの期間、「江戸のこころで 食品ロスゼロ!キャンペーン」を実施する(参考3)。これは、都と参加応募のあった1,054の飲食店などが協働し、都民やインバウンドを含む観光客に「食べ残しゼロ」を呼びかける取り組みだ。実施店舗には「江戸文化」をモチーフにしたポスターなどが掲示され、専用ホームページでは啓発動画も掲載される予定だという。
このキャンペーンは、江戸時代から続く「もったいない」の心を大切に、店とお客が協力して食品ロスゼロを目指すのがコンセプトだ。 キャンペーンでは、お客に対して「食品ロス削減に取り組む店を選び、適量を注文しておいしく食べ切ること」や、「店舗の二次元コードからのアンケート協力」を呼びかける。
食品ロス削減は、飲食店側とお客側の双方にとってメリットのある取り組みだ。お客は適量で満足度の高い食事ができ、飲食店はコストを削減しながら、顧客満足度の向上も期待できる。10月30日の「食品ロス削減の日」をきっかけに、できる取り組みから進めてみてはいかがだろうか。











