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接客スタッフ不在の飲食店も!? アメリカの最新フードテック事情

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飲食店は人手不足の状況が続いているという話を、よく耳にする。最近ではテクノロジーが発達し、人の仕事を機械がこなすようになってきており、飲食業にも少しずつ導入されてきているようだ。

特にアメリカでは、「食×テクノロジー」のフードテック分野がかなり進んでおり、接客スタッフがいないファストフード店も登場。そこで今回は、人手不足解消に役立つ海外の最新フードテック事情を紹介する。

店員がいないファストフード店

昨年8月末、アメリカ・サンフランシスコに登場したのは、接客する店員が一人もいないファストフード店。金融街にあるその店『Eatsa』では、タブレットに取り付けられた読み取り機にクレジットカードを通してから、食べたい料理を注文するスタイルだ。料理の受け取りは、カードから読み取った客の名前がスクリーンに表示され、番号が表示された注文口で受け取る仕組みになっている。

メニューは全て栄養豊富なスーパーフードのキヌアをベースにしており、低カロリーでヘルシーな商品を提供。割高になりがちなヘルシー商品だが、接客を完全機械化することで人件費を削減し、リーズナブルに設定することが可能となっている。

待ち時間削減で売上アップ

レストラン専用タブレットの開発も進んでいる。E la Carte社はチェーンレストラン向けに注文と会計を自動化できるタブレット「Presto」を提供。具体的な使い方は、専用タブレットを各テーブルに設置。客は店員を待つことなく、料理を注文したり、会計を済ませることができる。

これ以外にも、タブレットを使ってより詳しい料理の情報を伝えたり、注文を待つ間、客はゲームを楽しむこともできる。さらにここで得た情報により、人気商品や回転率を計算するデータ分析機能も備えている。

実際、このタブレットを使ったレストランは平均で売上が5%アップしたという報告が上がっている。つまり客の待ち時間を短縮することで、店側には回転率と顧客満足度、さらに顧客平均単価が上がるといったメリットがある。

3Dプリンターが料理を印刷

フードテックの技術の中に、「3Dフードプリンター」を使って料理を再現するという動きもではじめている。Natural Machine社が手掛ける世界初の3Dフードプリンター「Foodini」は、食べることのできる本物であり、かつ新鮮で栄養価に優れた料理を印刷することが可能だ。

料理を印刷するには、まず材料を揃えて下準備を行い、用意した材料をカプセルに入れてセットすれば、あとは自動で印刷される仕組みになっている。これまではチョコレートや砂糖など、使用する食材も限られていたが、現時点での料理のバリエーションは、スパゲッティやニョッキ、ハンバーガー、チキンナゲット、キッシュ、ピザ、ブラウニーなど、思いのほか豊富だ。

さらに独自のレシピをアップロードして共有する機能もあり、印刷にかかる時間は、クラッカーのようなもので数分程度。今後もレシピは増えていくことになるので、この3Dプリンターを使ってプリント、調理した様々な料理がテーブルに並ぶ日も近いかもしれない。

接客を無人化した『Eaysa』のように、アメリカの外食産業では、業務の効率化を狙った機械化が進んでいる。不足する人手不足を機械で補い、効率化を図ることで、売上にも数字が表れはじめているからだ。今後、この例を参考にして、無人化する飲食店が増えてくるのかもしれない。

しかし飲食店には、人の手もやはり必要だ。確かにテクノロジーの利用はコスト削減や売上アップ、慢性的な人手不足の解消など、メリットもたくさんある。ただ人の手が必要な部分は人がやり、クオリティーをしっかりと担保していく。顧客満足を得るためには、人と機械がバランスよく働く環境を作っていくことが大切だといえるだろう。

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平田佐百合

ライター: 平田佐百合

情報誌の編集者として長くダイニングやホテル、エンターテインメントまで幅広い記事を担当。また中国上海にて、在留邦人向けに現地の勢いある飲食店情報を発信。ミシュランスターシェフのインタビューや飲食店スタッフとの交流から生まれた企画など、トレンドを織り交ぜた記事が得意。