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ホールスタッフの求人倍率は7.5倍。“超”売り手市場の飲食業界で採用活動を勝ち抜くには?

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実際に応募があった後は正しい処理、フォローが必要となる。応募後に気をつけなければならないのは、面接率、採用率、定着率をいずれも高くすることだ。

面接率(面接を通知した者が、実際に面接に訪れる割合)は採用側のレスポンスの早さ、メールと電話の両方で適度な追跡をすること、メールの返答は選択式で返答できる形式のものにする、面接日前日のリマインドなど、通常の人間関係と共通する部分が大きい。

採用率(内定者が採用に応じる割合)では、会社のネガティブな面も正直に開示することの重要性が説かれた。これは求職者が採用担当者の対応で好感を持つポイントについて聞いたアンケートで「返信や連絡が早い」に次ぐ2位だったことからも明らかである。

採用担当者の対応で、好感を持つポイント

採用担当者の皆さん、こんなことをしていませんか?

面接する側の人間が腕組み、頬杖をするなど偉そうな態度をしたり、求職者に対して興味のないような姿勢を示すことは厳禁。「腕組みしたり頬杖をついたりすのは、日常生活ではよくあることなので、ついやってしまいがちです。採用担当の方は面接の相手に対しては店舗の代表、会社の代表でもあるので、そういう態度をとることで求職者の『ここで働きたい』という気持ちを削いでしまっているかもしれませんから、十分に気をつけてください」と西澤は注意を呼びかけた。

また、採用後、定着率(採用者が一定期間離職しない割合)を高めるために、採用の前後でギャップが生じることを避けることが大事になる。「こういう会社だろう」と思って入った会社が、事前に想像した通りであれば離職する可能性は低くなるのは当然。この点については採用前の店舗見学、マイナス面も正確に伝える、現場のスタッフによる面接などが有効であろう。そして早期離職にストップをかけるには初日が大切で、歓迎会を開き本人への期待度を示すとともに、ハウスルールを共有させることなどが必要であって、その上で本人に仕事の目的や、求める役割を伝えて「あなたは必要とされて、この会社に来たのだ」ということをより理解してもらえるように努力することが大切だ。

スライドに映し出されたデータ資料を、スマホで撮影する参加者の皆さん

参加者も危機感「どこもやっていないようなことをしないと」

今回のセミナーに参加した都内でフレンチ、イタリアン、和食等38店舗を経営する会社の採用担当者の男性は「今後も出店を伸ばしていくには、どうしても採用が追いついていかなければいけませんが、人材は限られています。そこで有望な人材を採用して、業界で一番になるにはどうすればいいのか、日々、考えています。今日のセミナーでは世代(20代と30代)によって会社に求める物が違うというデータが大変参考になりました。求人倍率が7倍ということで、他社さんと同じことをしていたらダメだなというのは感じましたね。だからどこもやっていないようなことをしないといけません。ナンバーワンになるためには、まず、求職者が何を求めているのかを徹底的に調べることかなと考えています」と話した。

西澤は「データを示した時に、皆さん、スマホで写真を撮ってくださるなど、熱心に聞いていただけました。抽象的に人を集めるのが大変だ、と嘆くだけでは状況は改善されません。何で大変なのか、それに対してどうアプローチしたらいいのか、具体的な対策ができれば、状況は改善されていくと思います。20代、30代が求める物が違うという部分であれば、それを対策の中でうまく取り入れて使い分けていただければと思います」と話した。

弊社では「求人@飲食店.COM」で飲食店に特化した求人サイトを運営するなど、人材と飲食店を結びつける役割を負っている。こうしたセミナーを今後も多く開催し、飲食業界の抱える問題の解決に関与していく考えである。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/