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外食企業の最新決算レポート。「値上げ」「M&A」「働き方改革」で売上・利益はどう変わった?

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Photo by iStock.com/winhorse

2018年も折り返し点を過ぎ、外食企業の最新の決算も続々と発表されている。今回は上場外食企業の中でも特に話題となっている企業の収支状況や動向について紹介する。

好調の企業は?

現在、好調と伝えられており、話題となっている外食企業の一つとしてペッパーフードサービスがあげられる。同社は運営する店舗の7割が『ペッパーランチ』となっているが、近年では『いきなり!ステーキ』の店舗数が急増しており、2018年12月期では200店の出店を目標としている。

直近の決算である2017年12月期では、前年と比較して売上高は約60%、営業利益は約140%増加。『いきなり!ステーキ』に関して、昨年、幸楽苑とフランチャイズ契約を締結しており、フランチャイズも含めて200店出店が達成できれば、2017年12月期の約70%増加である今期予想の達成も見えてくるだろう。

同じく好調が伝えられるのが日本マクドナルドホールディングスだ。直近の決算である2017年12月期では、売上高は前年比約12%増加、営業利益は約170%増加となっている。特筆すべきは既存店売上高の前年比であり、こちらも約12%増加となっている。新商品やキャンペーンなどをテレビCMで見ることも多く、客数・客単価ともに既存店は前年を超えており、今期も好調となっている。

Photo by iStock.com/7maru

活発に行われたM&A。気になる決算状況

好調な企業の中には、積極的なM&Aにより成長を進めている企業もある。DDホールディングスは昨年4月に商業藝術、11月にエスエルディーを連結子会社化しており、これだけで約150店舗が増加。これらのM&Aも含めて、18年2月期では売上高が前年比で約50%増加、営業利益が約35%増加となっている。

一方、トリドールホールディングスは18年3月期は売上収益が前年比約15%増加したものの、営業利益は約11%の減少となっている。昨年、『晩杯屋』を運営するアクティブソースや『ずんどう屋』を運営するZUNDをM&Aでグループ化しているが、特に『晩杯屋』事業に関しては赤字となっており、グループ化による利益面での効果が出るのは今期以降だと思われる。

居酒屋業態がメインであるDDホールディングスはM&Aによってカフェ業態を増やし、『丸亀製麺』のトリドールホールディングスは居酒屋やラーメン業態を増やすというように、主力と異なる業態をM&Aで手に入れることで、成長を図る企業が増えている。

Photo by iStock.com/maximkabb

働き方改革が好影響を与えた企業は?

コロワイドは2018年3月期では売上収益が約5%増加、営業利益も約3%増加と堅調な数字となっている。2017年3月期に働き方改革推進を明言して離職率が2%低下。人材の定着率が上がることで、生産性の向上や採用教育コストの抑制などの効果が出ている。

またロイヤルホールディングスは、今期からの新中期経営計画にて働き方改革を掲げ、従業員の健康に投資する“健康経営”や働く環境の整備を推進するとしている。2017年12月期は売上高が前年比約2%増加であったが、営業利益は前年比14%増加と大きく伸ばしており、今期も成長が期待される。

その他、話題になった企業についても見てみよう。串カツ田中は、直近の決算である17年11月期は売上が前年比約40%増加、営業利益が約20%増加と好調であった。今年6月に全席禁煙を実施しており、速報では客数は増加も客単価が下がり、売上も前年を下回っている。喫煙客の代わりに家族客などの非喫煙客を取り込んでいるが、客層の変化が数字に対して好影響をもたらすのはもう少し先になりそうだ。

鳥貴族は7月決算のため最新の決算数字は確定していないが、6月までの前年比で既存店客数が95%、既存店売上が97%と苦戦している。昨年10月に値上げをしたことが大きな話題となったが、顧客の離反につながったようだ。新規出店が多いため、売上・営業利益とも前期を上回る予想となっているが、値上げを考えていた他の企業にとっては慎重にならざるを得ない結果となっている。

さて今回は、外食企業の決算数字や動向について説明した。今回取り上げた企業も含めて、今年の残りの期間でどのような施策が話題となり、業績にどのように反映されるのか、今後の動きにも注目していきたい。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/