4月から飲食店は「原則禁煙」に。改正健康増進法を再チェックして違反を防ごう!

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4月1日から改正健康増進法が全面施行となり、飲食店は原則禁煙になった。ただし、経過措置として小規模店では喫煙可能なケースも。また一方で、自治体による独自の条例もスタートし、「ルールがわかりにくい」と思っている経営者は少なくないだろう。そこで今回は、「うっかり違反していた!」とならないために、義務化されたポイントをおさらいしておく。
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今一度確認! 「改正健康増進法」とは?
改正健康増進法とは、望まない受動喫煙の防止を図るため、多くの人が利用する施設において一定の場所を除いて喫煙を禁止するとともに、管理者が講ずべき措置を定めた法律。2018年7月に成立してから段階的に施行され、児童福祉施設や病院、診療所、行政機関の庁舎などの敷地内はすでに原則禁煙となっていた。そして今年4月1日から、多数の人が集まる施設の屋内が原則として禁煙になった。
しかし、施設内に喫煙室を設置すれば、その中で喫煙することは可能。飲食店でも、喫煙専用室を設置し指定された標識を提示すれば喫煙ができる。また、4月1日の時点で営業している小規模飲食店は例外となり、喫煙可能な場所であることを掲示すれば、店内での喫煙が続けられる。
各自治体で独自の条例も
改正健康増進法より厳しい内容の条例を定めている自治体も多い。例えば、千葉市では店の規模にかかわらず、従業員のいる飲食店では喫煙専用室を設けない限り禁煙となった。さらに、LINEなどで法令違反による受動喫煙の被害に関する情報を受け付け、規制の実効性を高めるという。
東京都では、「東京都受動喫煙防止条例」を定めた。店舗の面積にかかわらず、従業員のいる飲食店はすべて規制の対象。東京都のホームページによれば、都内の飲食店の約84%にあたるという。1人で運営している既存店は喫煙が可能だが、保健所への届け出が必要だ。

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喫煙可能店が特に注意すべきポイント
4月1日の時点で営業しており、客席面積が100平方メートル以下かつ資本金5000万円以下の小規模店は、自治体による個別の規制がない限り、店内での喫煙が可能。しかし、喫煙可にする場合にはさまざまなルールがあり、たとえ「うっかり」であっても違反すると最大50万円の罰金になる。ここでは改正健康増進法で義務化されたこと、そして注意点をまとめる。
1、店頭や入口などの見えやすい場所に「喫煙可能店」「20歳未満は立ち入り禁止」といった標識を掲示しなければいけない。紛らわしい標識や汚れた標識は禁止されているため、罰則の対象となり得る。
2、店内を喫煙可能にした場合、20歳未満は立ち入り禁止となる。これは客だけでなく、従業員にも適用されるため、20歳に満たない従業員を雇うことはできない。
3、喫煙専用室を設置した場合、喫煙できる場所の出入口と主な出入口の見やすい場所にその旨を表示する。
4、喫煙可能店は、管轄の保健所などへ届出書を提出しなければならない。喫煙可能店から禁煙店に変更するときにも変更の届出が必要。
標識は厚生労働省のホームページからダウンロードすることができる。加熱式たばこ用や外国語に対応しているものもあるので、ぜひ活用したい。

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喫煙室のパターンは3つ
喫煙室を設置する場合、タイプによって飲食の可否などの条件が変わる。参考までに3つの設置パターンをご紹介する。
■喫煙エリアをつくりたい
「喫煙専用室」を設置し、それ以外のすべての店内を禁煙とする。喫煙専用室では、飲食等を行うことはできない。
■加熱式たばこを喫煙しながら飲食できるエリアを設けたい
「加熱式たばこ専用喫煙室」を設置し、それ以外のすべての店内を禁煙とする。加熱式たばこ専用喫煙室では、飲食等を行うことができる。
■紙巻たばこを喫煙しながら飲食できるエリアを設けたい
店内の全部、または一部に「喫煙可能室」を設置し、それ以外のすべての店内を禁煙とする。喫煙可能室では、飲食等を行うことができる。
今後、あいまいな分煙は許されない。まずは店の方針を定め、ルールを熟知・遵守することが求められる。また、改正法では管理者に対して、従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずることを努力義務としている。現状を把握した上で、こちらもしっかり対応していきたい。
