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うどんの新境地に挑み人気店へ。大阪『青空blue』の業態づくりに迫る

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大丸心斎橋店の店内

しっかりした濃度のつゆとワサビでいただく、自家製粉石臼挽きうどん

『青空blue』のうどんには、決まった製粉・製麺のレシピはない。小麦が持っている甘味や旨味を引き出すためにその時々で微調整しながら、店内の石臼で小麦の実を挽いて製麺している。

「季節に合わせて小麦を少し細かめに挽くときもあれば、粗めに挽くときもあります。どちらにしても白い小麦ではなく粗挽きの小麦なので、加水率や塩度の調整を間違えると麺が切れやすくなるため、製粉と出来上がりのイメージを繋げることが大切です」

自家製粉石臼挽きうどんの香りを楽しむには、ざるでいただくのがおすすめ。合わせるのは、ほんのり甘いうどんのつゆではなく、醤油を効かせた蕎麦つゆだ。薬味はショウガではなくワサビ。キリッと醤油の効いたつゆとワサビが、粗挽きうどんの風味を引き立てる。

大丸心斎橋店では自家製粉の粗挽きうどんのみを提供しているが、淀屋橋本店ではそれに加えてさまざまな産地の小麦粉をブレンドした白いうどんもあり、好みで選べるようになっている。まだまだ知られていない自家製粉粗挽きうどんと、白いうどんの違いを感じてほしいという思いが込められているそうだ。

「自家製粉粗挽きざるうどん」(924円)。つゆはもちろん、塩でいただくのもおすすめ

周囲の人を巻き込み、可能性を広げていく

独立前から、松井さんは10年で3店舗の展開を考えていた。そんな中で松井さんのモチベーションとなっているのが、『青空blue』が提案する新しいうどんのスタイルに共感して集まったスタッフの存在だ。

「淀屋橋本店の店長も、大丸心斎橋店のスタッフも、うどん店の経験者。『一緒に自家製粉のうどんを広めたい』と言って集まってくれたのがうれしいし、彼らの活躍の場を増やすためにも事業を広げていきたいですね。また、現在は埼玉と福井から小麦の実を仕入れていますが、僕が現場から離れて全国の産地へ買い付けに行けるようになると、もっと色んな小麦を生かしたうどん作りができるようになるので、まだまだ伸びしろはあります」

ただ、新型コロナウイルスの影響で先行きが見えないのが現状だ。ここで自分たちが無理をしてすり減るのはよくないし、「次の展開に向けて頑張る」という姿勢は今でなくてもいいと松井さんは考える。

同店では、コロナ禍で通販をスタートさせた。以前から通販を希望する声があり、この機会を自家製粉の粗挽きうどんを広めるきっかけとして捉えている。コロナを乗り越えた先に、松井さんが提案する“小麦の風味を楽しむうどん”が、私たちの日常のもっと身近なものとなっていくはずだ。

『青空blue 本店』
住所/大阪府大阪市中央区平野町4-5-8 1F
電話番号/06-4708-8812
営業時間/11:30~14:30、17:30~L.O.22:00 ※土曜の夜は~L.O.21:00
定休日/日曜
席数/33

『青空blue 大丸心斎橋店』
住所/大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-7-1 10F
電話番号/06-6484-8558
営業時間/11:00~L.O.21:00
定休日/大丸心斎橋に準じる
席数/45
https://www.aozora.blue/
https://aozorablue.stores.jp

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。