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東京都が「緊急事態宣言」要請の新基準を発表。オミクロン株の特性踏まえ

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの変異種「オミクロン株」の感染拡大が続いているが、従来よりも重症化しにくい傾向にあることから、その特性を踏まえた対応が模索されている。こうした状況において都は3日、「緊急事態宣言」の要請について新たな判断基準を発表した。

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オミクロン株の特性を踏まえた都の新基準

東京都は3日、新型コロナウイルス危機管理対策会議を開き、政府に「緊急事態宣言」発出を要請する際の新しい判断基準をとりまとめた。「重症者用病床使用率」か「酸素投与が必要な患者の割合」が30~40%となり、かつ1週間平均の新規感染者数が2万4000人となった場合に、「緊急事態宣言」の要請を判断する。新基準は、重症化しにくいとされるオミクロン株の特性を踏まえた上で、医療提供体制の逼迫度合をみるために設けられた。

さらに、都は重症者の基準も新たに作成。従来は人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使用する人を重症者としていたが、第6波では集中治療室(ICU)などの入院患者も重症者に加えることとなった。オミクロン株では肺炎が軽症でも、基礎疾患が悪化して重症化するケースが多くみられるためだ。また、酸素投与が必要な人は一定程度重症化する可能性があることから、「緊急事態宣言」の要請を判断する指標の1つに加えた。

新基準のうち「1週間平均の新規感染者数が2万4000人」という指標は、企業を対象とした社会経済活動の影響についての調査から定められた。新規感染者が1週間平均で2万4000人になると、感染者と濃厚接触者を合わせて約80万人が欠勤すると推計され、都の就業人口の約1割に達する恐れがある。企業は欠勤者が3割を超えると事業継続が難しく、社会経済活動に支障をきたすことが懸念される。

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感染防止と社会経済活動の両立を模索

都では1月21日から「まん延防止等重点措置」が適用され、都民に不要不急の外出自粛を呼び掛けるほか、感染対策の認証店である飲食店には営業時間を最長で午後9時までとするなどの要請を行っている。しかし適用後も感染拡大に歯止めがかからず、2月1日時点で、これまで都が国に緊急事態宣言を要請する目安としてきた病床使用率50%に達した。

小池百合子知事はかねてから「感染を止める。社会は止めない」と強調し、「緊急事態宣言」発出には慎重な姿勢を示していた。今回は感染防止と社会経済活動の両立をねらって、宣言要請の新基準を設けた。

都内では2日、新規感染者数が初の2万人超えとなり、医療提供体制の警戒レベルは4段階のうち最も高い「医療体制が逼迫している」に引き上げられ、感染状況は最上位の「大規模な感染拡大が続いている」を維持した。このまま感染拡大が続き「緊急事態宣言」要請の基準に達すれば、再び社会経済活動はストップすることになるだろう。一刻も早く第6波が収束することを願いたい。

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。