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飲食店でカセットコンロを誤使用し死亡事故発生。客席での火の利用はルールの徹底を

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画像素材:PIXTA

12月1日、兵庫県伊丹市の飲食店でカセットコンロのガスボンベが爆発し、60代の女性客が死亡する事故が起きた。鍋の季節でもある冬、客に料理を提供する際にカセットコンロを使用する飲食店も多いだろう。しかし、客席で火を扱うときは細心の注意を払わないと、取り返しのつかない事態に陥ることがある。

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熱い鉄板の上でカセットコンロを使用したことが原因か

事故が起きた飲食店では、焼肉とお好み焼きを提供していた。事故にあった女性は、まずテーブル上の鉄板でお好み焼きを焼いて食し、その後、焼肉を注文。肉はカセットコンロで焼いて食べていたそうだが、そのカセットコンロは熱せられた鉄板の上に置かれていたという。このため警察は、カセットコンロのガスボンベが鉄板で熱せられたことによって爆発が起きたとみている。

カセットコンロメーカーは、ガスボンベの加熱による事故が起こらないよう、使用にあたっての注意事項を設けている。例として、カセットコンロメーカー・岩谷産業のウェブサイトからいくつか抜粋しよう。

・ボンベが加熱される場所で使用しない(火気・熱気からは2m以上離して設置する)
・鍋や鉄板などボンベのカバーを覆うような大きな調理器具を使用しない
・セラミックなど輻射熱を利用する調理器具は使用しない
・ほかの熱源の上での使用や保管をしない
・炭の火起こしに使用しない
※参考元:岩谷産業イワタニカセットフー「達人スリムプラス」取り扱い説明書より抜粋

これら注意事項は、いずれもガスボンベの加熱を防ぐ意図があるものだ。もし、店舗で似た状況・用途でカセットコンロを使用しているようであれば、直ちにオペレーションの見直しが必要だろう。今回の事故は、カセットコンロの正しい使用法を知り、守れていれば起きなかった「防げた事故」である。

ステーキ店のパフォーマンスで客に火が燃えうつる事故も

火による事故はさまざまな飲食店で起こっている。今年11月、沖縄の鉄板ステーキ店で、店員が客前での調理パフォーマンスとしてフランベ(※)を行ったところ、洋酒が勢いよく飛び出し客に火が燃えうつるという事故があった。

通常はステンレス製の容器に入れることが決まっていたフランベに使う洋酒を、プラスチック製のソースディスペンサーに入れていたことが事故の原因の一つとみられている。なぜそうしていたか定かではないが、安全のためのマニュアル遵守を怠ったことが一因であることは明らかだ。
※…ブランデーなど、アルコール度数の高い酒に火をつけてアルコールを飛ばし、料理に香り付けなどをする調理法

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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また、ニュースにはならないまでも、焼肉店での網交換の際に事故に遭った人の投稿をSNS上で見かけることがある。熱せられた焼き網そのものや、付着していた脂などで火傷をするといった内容だ。高温の機材・食材を扱う飲食店は、事故につながる危険と隣合わせであることがわかる。

飲食店において客席で火を使う演出は、客の興味や食欲をそそり、温度が高い状態で料理を楽しんでもらえるメリットがある。しかし事故が起こってしまえば、その客が楽しみにしていたはずの食事は台無しになる。さらにほかの客からの信頼も失い、営業もできなくなるという事態にもなりかねない。

安全に関しては、いくら注意しても注意しすぎるということはない。臨時スタッフを雇うことも多いであろうこの季節、一人ひとりのスタッフと改めて店舗マニュアルや機材の使用法を確認し、安全な営業を行っていただきたい。

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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