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ヒット業態の仕掛け人・スパイスワークス下遠野氏が語る「成功の方程式」

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直営店も手掛けてきたからこそ、人手不足は深刻な問題として捉えている

「働いていただける方を迎えに行く」ロードサイド店舗の可能性

数えきれないほどの飲食店を手掛けてきた下遠野氏は、コロナ明けの飲食業界をどんな視野でみているのだろうか。今後の展望をお聞きした。

下遠野氏 今後、可能性があるのは、食事業態。そして、ロードサイドを強くしていくことが、ここから外食産業がやっていくことかなと感じています。都市型はわかりやすく右肩下がりになっていますし、お酒の出数が下がっているのもデータに出ている。ですから、同じ頑張りで右肩上がりに売上を伸ばしていこうとするなら、郊外に可能性があるのかな、と。それに、業態とか内装とかよりも、労働していただける方の質が大事になってくる。その人たちが住んでいるところに出店して、迎えに行くのが正攻法なのかな、と考えています。

━━具体的には、どんなジャンルに可能性を感じていますか?

下遠野氏 今すごく興味を持っているのは、焼肉、寿司、焼とり、ピザ、パスタといった不動のジャンル。当たり前にみんなのテンションがちょっと上がるもの。昔は、「マイナーをメジャーに」とか「オンリーワンナンバーワン戦略」とか言ってましたけど、今はメジャーをちょっと上にできるようにしていければいいなって思っています。

あとは、喫茶業態をやってみたいですね。「喫茶とは何か?」を突き詰めていくと、会話とか、人に会うためのツールだと思うんです。だから、時間や空間ってものをもっと大事にした業態を、ブランドイメージをつけながらやっていく。たとえば地方の40万人都市をターゲットにするなら、全国に40カ所くらい出せるみたいなんですね。そういうところにぽっぽって出して、その地域の人たちを幸せにできるような、そういう幸せの配り方をしていきたいですね。

開業前にコンセプトを綿密に作りこみ、走り出したのちも継続してメンテナンスをする。ヒット業態は頭の中だけで生み出されるものでなく、寄り添い続けて育てていくものであり、「働く人」なしには成り立たない。街の活性化にも繋がる下遠野氏の店づくりに、学ぶことは多い。

下遠野 亘(しもとおの・わたる)
株式会社スパイスワークス・代表取締役。1974年千葉県生まれ。建築関連の専門学校に進み、飲食店も手掛ける工務店に勤務。22歳で飲食業界に転職し、2006年、東京・水道橋に『大人の隠れ家 窯焼き料理・肉料理・旨酒 shigotouma 仕事馬』をオープン。40業態・100店舗の直営店のほか、食関連の店舗デザイン、業態開発などを年間のべ200件担当。2018年、グループ会社12社を取りまとめホールディングス化。2023年3月現在、グループ会社は22社となる。

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/