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坪月商59万円を売る『farm studio #203』。カウンター中華割烹で悪立地を克服

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中華料理とは思えないカテゴリーが目を引くメニュー表。北京ダック1piece770円、かに炒飯1,780円、よだれ鶏880円など商品名はあえてシンプルにし、独自性の高い料理とのギャップを高めている

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アラカルトでもコース仕立てになるようにメニューを配置

このメニューカテゴリーはただユニークなだけではない。アラカルトメニューであるにもかかわらず、コース仕立てになるように注文を誘導する仕掛けになっているのだ。

「ディナータイムのお客さまは7割が2人客で占められています。1組当たりのフードの注文数は6~7品。その内訳はrecommendation2~3品、meal1品、snack2~3品ですが、mealはご飯もの4品と麺料理2品、snackは前菜5品、一品料理5品、点心5品で構成しているため、それぞれのメニューカテゴリーのおすすめなどを説明しているうちにアラカルト注文が自然とコース仕立てになるわけです」

厨房は濱田氏の一人体制。餃子1piece330円、えび春巻1piece330円といった点心メニューは1ピース単位でオーダーできるようにし、少量多品種を求める女性客のニーズに応えているが、前菜や点心を含め、いずれの商品も作り置きはせず、ツーオーダーで調理し高品質を追求している。一品一品の調理に手をかけられるのも、アラカルト注文をコース仕立てにしてオペレーションを効率化していることによるわけだ。

厨房は濱田氏の1人体制。前菜類も作り置きはせず、ツーオーダーで調理して品質を追求している

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スパイスと相性のいいナチュールワインがアルコールの柱

アルコールメニューの柱はワイン。グラスで赤6銘柄990円~、白・オレンジ6銘柄880円~、泡1銘柄990円を用意しているが、そのうちナチュールワインが赤4銘柄、白・オレンジ4銘柄を占めている。

「当然のようにスティルワインはフレンチやイタリアンなど洋食の方が合いますが、ナチュールワインはスパイスと相性がいい。酸味が立たないワインをチョイスし、中華とワインのマリアージュも楽しめるようにグラスワインの品揃えを厚くしました」と濱田氏は説明する。

ディナータイムのアルコール売上比率は30%で、そのうちワインの売上が5割を占めている。

ワインはジョージア産のナチュラルワインを中心にグラス13種880~1320円、ボトル11種5,200~8,500円を常備

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リピート客を増やすためにメニューの深掘りを重視

オープンから4年近くが経とうとしているが、濱田氏は「商品のブラッシュアップが今後の課題」だと言う。

「白子をトッピングした麻婆豆腐やヴィーガンサラダなどはすでに定番メニュー化しており、意外性という点では当初ほどの商品力はなくなっている。それを補うため、商品それぞれのクオリティをさらに高める必要があるのです」

その一環として、2023年2月にスタートしたのがランチメニューでの羽釜ご飯の提供だ。黒毛和牛の四川麻婆豆腐1,980円など定食3品にジャスミンライスがセットになっているが、それを羽釜で炊きあげ、12時15分と13時15分に炊きたてを提供している。

『farm studio #203』の客層は30~40代の情報感度の高い女性。「独自性の高さだけではリピートにつながりませんから、それを深掘りすることが大事」だと濱田氏は言い、商品力の磨き上げに余念がない。

『farm studio #203』
住所/東京都目黒区鷹番2-20-4 学大十字街ビル2F
電話番号/03-6712-2368
営業時間/12:00~14:30(L.O.14:00)、18:00〜23:00(L.O.22:00、日曜~22:00《L.O.21:00》)
定休日/不定休
坪・席数/6.7坪10席

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。