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「この子メインでいける」。 レモンサワーの人気店『酒肆一村』を生んだオーナーの演繹的思考

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将来の展望を語る大野氏、グループ店の『酒房 蛮殻』にて

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文化的事業への夢

大野氏に『酒肆一村』の成功の要因を聞くと、意外な事実を口にした。それは大手酒類メーカーがレモンサワーをコンビニに置くようにしたことだという。その事実がレモンサワーという商品を誰もが知る商品とし、酒肆一村が成功する下地を作ったと分析する。

「今まで居酒屋のメニューの端っこにあったどうでもいい商品が、コンビニという私たちの日常に入り込んできました。それが下地になります。下地ができるとピラミッドが出来ます。ではその頂点はどの店だというようにメディアが扱ってくれます。それが売れる予兆になりました。2016年に店を始めた時はそうでもなかったのですが、オープン直後から大手メーカーの社員の方がよくいらっしゃるようになりました。『何か始まるのかな』と思っていたら、コンビニでどんどんレモンサワーの商品が増えていきました。『これは時代にうまく乗ったな』と思いました」

まさに天の時を得た店舗のオープンとなった。

今後の展開について聞くと、現在運営中の3店舗(もう1つは『酒房 蛮殻』)以上、広げる考えはないという。ただ、老後を考えて蕎麦を打つ修業をしており、また、飲食業をする中で起きることを扱った短編の映画祭を開催したいという文化的事業へも意欲を見せる。

「飲食は色々なことが起きる場所だと思います。お客さんとのやりとり、お客さん同士のやりとり、あるいはお客さんが帰った店舗で1人でいる時に何か怖いことが起きるかもしれません。僕は深夜食堂(原作・安倍夜郎)というドラマが好きで、そういう感じの短編の映画祭ができればと思っています」

3店舗を運営しながら異なるジャンルの夢を語る。繁盛店を生み出す秘訣はこんな夢の詰まったオーナーの生き方が原動力になっているのかもしれない。

『酒肆一村』
住所/東京都江戸川区深川2-1-2 深川岡野ビル2F
電話/03-5875-9963
営業時間/月~土17:00~23:00、日祝16:00~22:00
席数/17
https://www.instagram.com/isson_monnaka

大野尚人(おおの・ひさと)
1980年、千葉県出身。法政大学経営学部を卒業後、会社勤めをするが、その後、飲食店へと身を投じた。2013年に1店舗目の『酒亭 沿露目』をオープン。2016年に『酒肆一村』、2022年に3店舗目の『酒房 蛮殻』をオープンした。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/