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月給100万円を払える飲食企業に! 中目黒『nou』が事業多角化を進める理由【連載:居酒屋の輪】

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株式会社cielo8や株式会社JUICCCYの代表を務める板垣亮さん

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繁盛している居酒屋はどこかで必ずつながっている。名店誕生までのストーリーを探りつつ、また別の新しい名店を紹介してもらう連載企画。前回登場『北千住fuji』の竹嶋太郎さんが「新業態を始める面白い友人」と教えてくれたのは、中目黒で話題を集める人気レストランのオーナーだ。「居酒屋の輪」という連載なのだが、今回は企画の枠に収まるのだろうか?

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2020年7月オープンの『nou』。千葉の“農”家から直送される野菜を中心とした四季の食材を“脳”で楽しめる

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仲間たちの未来を考えて事業を多角化

「ミシュランガイド」と双璧を成すグルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」に掲載されるなど、食通たちから評価を集める中目黒の創作レストラン『nou』。2022年11月には3軒隣に和を軸とした姉妹店『iro』をオープンし、両店舗合わせて月商1,200万円を達成するほどの繁盛店となっている。それでもオーナーの板垣さんは「10年続く飲食店は3%だけ」と飲食業界の難しさを説く。

「僕の目標は色々な経営の柱を作って、仲間たちがずっと豊かに暮らせるような環境を作ることなんです。いずれ料理長に月給100万円ぐらい支払える企業を目指しています。実現するには1店舗や2店舗の経営では終われません。新しい事業を成功させて、将来はファミリーレストランのような業態も広げていけたら良いですね」

すでに板垣さんが手掛けるのは飲食店だけではない。店舗装飾や撮影装花のフラワーアートを行う「ai」、大型観葉植物のサブスクサービス「LIVE」など、空間トータルカンパニーとして多彩な事業を軌道に乗せてきた。経営者としては34歳と若手ながら、その辣腕ぶりには目を見張るものがある。

『nou』のエントランスに飾られたドライフラワー。板垣さんの妹が手掛けた作品だ

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地元での縁がつながりスタートした新事業

そんな板垣さんが2024年夏に渋谷の新商業施設でオープンするのが、立ち呑みスタイルによる居酒屋業態だ。メニューの主軸となるのは千葉県産の銘柄豚「林SPF」。その開業に至るまでの経緯を「さまざまな縁に恵まれた結果」と板垣さんは語る。

新事業「JUICCCY」のInstagram投稿内容。千葉県の綱島養豚場を紹介している

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「きっかけは『ソーセージ作れない?』というホットドック店から依頼です。当時、コロナ禍のため時間に余裕があったので挑戦してみたのですが、食材探しから難航しまして……。そんなときに出会ったのが、僕の故郷である千葉県で食肉卸や加工を行う和喜多さんでした」

有限会社和喜多を紹介する投稿。極限まで添加物を抑えてソーセージやベーコンを加工しているそう

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3年に一度、ドイツで開催される食肉界のオリンピックこと「IFFA」で金賞を受賞するなど、世界的に認められている和喜多のソーセージやベーコン。その素材となっている最高の豚肉として紹介されたのが「林SPF」だったという。品質の高さに大きな可能性を感じた板垣さんは「林SPF」を丸ごと1頭買い。ソーセージやベーコンといった加工品に限らず、レストランで提供する新メニューまで開発することに決めた。

2022年にはクラウドファンディングにも挑戦。初日で目標金額50万円を達成した

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。