焼肉店の倒産が年間過去最多を更新。輸入牛などの食材高騰も価格転嫁できず
2024年に入って、焼肉店の倒産が相次いでいる。帝国データバンクが、2024年1月から9月における焼肉店の倒産動向について調査したところ、焼肉店の倒産件数は9月までに計39件となり、昨年同期間の16件を上回った。今回は、2024年1月から9月の焼肉店の倒産動向について紹介する。
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2024年9月までの倒産件数は2019年通年の26件を大きく上回る39件
帝国データバンクは、2024年1月から9月における焼肉店経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)を調査したところ、9月までで計39件となった。昨年同期間の16件を上回っただけでなく、すでに2019年通年26件を上回っており、年間過去最多の倒産件数を更新している。
今回の調査は負債1000万円以上の倒産が対象だが、小規模店舗の廃業まで含めると、これ以上の焼肉店が倒産していると考えられる。
止まらぬ食材費高騰。飲食店では価格転嫁できない状況が続く
焼肉店が倒産している原因としては、食材費の高騰と値上げがしにくい経営環境が挙げられる。食材は、米国産をはじめとする輸入牛肉を中心に、円安の影響で価格高騰が止まらない状況にある。ロイン・かた・ばらについては、2024年の月平均価格は2020年比1.7倍にまで値上がっている。サラダなどに使われる野菜についても、気象条件や物流価格の高騰などもあり、キャベツなどが2020年比1.3倍と値上がりした。
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しかし、このように食材費が高騰していても、焼肉店としてはそう簡単に価格転嫁に踏み出せない事情もある。節約志向が高まっている現在、客単価の高い焼肉店では客離れを警戒して値上げがしにくい。世帯当たり焼肉支出額や、焼肉(外食)価格も高まっているものの、食材費の高騰には追いついていない。大手焼肉チェーンであれば、コストを抑えた手頃な価格設定も可能だが、電気・ガスや人件費も高くなる中、中小零細規模の個人店ではコスト競争に耐えきれないのが現状だ。
訪日外客数は増えているものの、食材や店舗運営に関わるコストの高騰は続く見通し。2024年の焼肉店倒産は年間で50件を超える可能性もあり、特に個人店ではまだまだ厳しい状況が続きそうだ。
