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中目黒で平均月商900万円の居酒屋『魚の花』。「駅からの距離」をものともせぬ顧客吸引力

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のれんにも染め抜かれているロゴデザインは、篠田氏の愛猫「おから」がモデル

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お客にとっても、従業員にとっても「居心地がいい店」でありたい

飲食店である以上、「おいしい」ことは大前提。結局のところ、サービスの良し悪しが口コミやリピート率の高さにつながっていると篠田氏は言う。

「といっても、僕がスタッフに伝えているのは、『自分がお客様の立場だったら、どんな接客をしてほしいか』。ごく基本的なことですが、この当たり前のレベルを上げることこそが、大切だと思っているんです」

ハマグリの出汁で8時間かけてじっくり炊きあげる「ハマグリ大根」(写真提供:『魚の花』)

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デート利用であればさりげなく2人を盛り上げたり、ファミリーであれば子どもと遊んだり。決してマニュアル通りではない接客が、アットホームで居心地のいい空間を作りあげている。常連客の多くが篠田氏を「匠君」と名前で呼ぶというエピソードからも、営業中の大らかな雰囲気が想像できる。

「1人だけ、『大将』と呼んでくださる方がいます。そのお客様にとってこの店は、初めての行きつけで、いつか通いたい店ができたら、店主を『大将』と呼ぶと決めていたそうなんですよ。うれしいですね」と篠田氏は笑顔で語る。

また、サービスの質を高めるには、働きやすい職場づくりなどスタッフのモチベーションを上げる工夫も必要だ。同店では通常のシフトに加えて毎月2日間の希望休を取得できる仕組みにしており「この日はやりたいこと、楽しみに時間を費やしてほしい」と伝えているという。月商1,100万円を売り上げた月は、数十万円単位のインセンティブを支給したのだとか。

「決して余裕があるわけではありません(笑)。でも10年続く店にするなら、スタッフの満足度を上げて、1人1人の生活が豊かにならないと。12月はいわゆる繁忙期ですが、さらに1日休みを増やしました。むしろこんなときこそ、ほかの繁盛店を見て勉強してきてほしいんです。その分、僕も店に出ればいいので」

店頭にも小さなおからの招き猫が飾られている

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近々、中目黒に2店舗目を出店するべく、物件を探しているという篠田氏。さらに2025年からは、新たな試みとしてランチタイムの間貸し営業もスタートさせる。

「どちらも社員が増えたことで、視野が広がったのがきっかけです。2店舗目は『魚の花はなれ』として、独立を志望する社員が経営や立ち回りなどを勉強するための場として活用する予定です。ランチタイムは、寿司職人に来てもらって、寿司を握る体験型ランチを企画しています。中目黒にも外国人観光客が増えているので、インバウンド需要を狙えたら。スタッフにとっても、これまでの接客とはまた違う、“教える”ことを学ぶいい機会になるでしょう」

取材中、何度も「ありがたいです」とお客やスタッフに対し感謝の意を表していた篠田氏。謙虚な姿勢と温かい人柄が、多くの人を惹きつけやまないのだろうと感じた。

『魚の花』
住所/東京都目黒区青葉台1-25-10 バウ青葉台1F
電話番号/03-3714-8751
営業時間/17:00~24:00(L.O.23:00)
店休日/無休
席・席数/18坪44席(カウンター16席、テーブル10卓)
https://www.instagram.com/unohananakameguro/

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。