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映画『グランメゾン・パリ』が公開。ドラマ監修を務めたスターシェフらの料理人としての哲学

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三つ星レストラン『カンテサンス』のダイニング。シェフである岸田周三さんは、ドラマ『グランメゾン東京』の監修を務めた(2022年10月掲載の当メディア記事より)

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昨年12月30日、木村拓哉が主演を務める映画『グランメゾン・パリ』が公開された。2019年に放送されたドラマ『グランメゾン東京』の続編として、パリでアジア人初となる三つ星獲得を目指すストーリーに注目が集まっている。飲食店ドットコム ジャーナルでも、これまでに多くの「グランメゾン」シェフに話をうかがってきた。今回は、3人のシェフの仕事ぶりや思いなどを改めて紹介する。

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パリでアジア人初の三つ星を目指す姿を描く映画『グランメゾン・パリ』

ドラマ『グランメゾン東京』の続編として、映画『グランメゾン・パリ』が公開された。ドラマでは木村拓哉が演じるフランス料理のシェフ・尾花夏樹がフレンチレストラン『グランメゾン東京』をオープンし、スーシェフとして三つ星を獲得する姿が描かれた。2024年12月30日から公開されている映画『グランメゾン・パリ』は、『グランメゾン東京』でオーナーシェフを務めていた早見倫子(鈴木京香)、京野陸太郎(沢村一樹)、相沢瓶人(及川光博)たちとともにパリで新店舗『グランメゾン・パリ』をオープンさせ、アジア人初の三つ星を目指すストーリーだ。

なお、映画『グランメゾン・パリ』では、実際にフランスでアジア人初の三つ星を獲得した『Restaurant KEI』の小林圭シェフが料理監修を務めている。そもそもグランメゾンとは和製フランス語で、フレンチレストランの中でも格式の高い三つ星クラスのレストランを指す。飲食店ドットコム ジャーナルでも、これまでに多くの「グランメゾン」シェフに話をうかがってきた。今回紹介するのは、そのうち3名のシェフだ。

『ガストロノミー “ジョエル・ロブション”』関谷健一朗さん

『ガストロノミー “ジョエル・ロブション”』関谷健一朗さん

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「ミシュランガイド東京」創刊の2007年から三つ星を獲得し続けているグランメゾン『ガストロノミー “ジョエル・ロブション”』。関谷健一朗さんは、日本人として初めてエグゼクティブシェフ(総料理長)に就任し、2023年には日本人初の「M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)料理部門」を受章、2024年3月には『ゴ・エ・ミヨ 2024』の「今年のシェフ賞」に選ばれた。

関谷さんは、「ひと皿でも100皿でも、一見のお客様でも常連のお得意様でも“満点”を目指して作り上げた同じクオリティのお料理をお出しすること。それがロブションさんの教えであり、自分自身のスタイルです」と話す。また、食材をすべて使い切るために、一つひとつの食材と真摯に向き合い、時間をつくっては産地に足を運び生産者と会話を交わすという。

そんな関谷さんは、日本で伝統的なフランス料理を継承することを目的に、料理人9名「Club de l’Héritage Culinaire Français(通称クラブ・エリタージュ)」を結成。身に受けた優しさのバトンを次の世代に渡す「優しさの循環」を、日本でも作り上げようとしている。
※『ガストロノミー “ジョエル・ロブション”』関谷健一朗さんが目指す「優しさの循環」とは

『レストラン カンテサンス』岸田周三さん

『レストラン カンテサンス』岸田周三さん

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2008年に「ミシュランガイド東京」で三つ星を獲得して以来、三つ星を獲得し続けている『レストラン カンテサンス』。提供する料理は「おまかせの1コース」のみで、「素材、火入れ、味付け」を追い求めている。シェフの岸田周三さんは、パリの『アストランス』で食べた料理の火の入りに驚き、同店で修業。シェフに対してスタッフが対等に意見を言える環境や、食材の状態に合わせて工程を変える考え方に驚いたという。

岸田さんは、ドラマ『グランメゾン東京』の監修も担当。料理人の社会的地位を変えたい、成長させてくれた飲食業界への恩返しがしたいという使命感から引き受けたという。お客様が喜んでくれることはもちろん、飲食業が夢を見られる仕事になることを目指している。
※三つ星シェフ『カンテサンス』岸田周三さんが学んだこと、目指していること

『ル・マンジュ・トゥー』谷昇さん

『ル・マンジュ・トゥー』谷昇さん

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「ミシュランガイド東京」で2008年から2023年まで星を獲得し続けている、『ル・マンジュ・トゥー』のオーナーシェフ谷昇さん。フランス・アルザスの三つ星レストラン『クロコディル』などで修業し、1994年に『ル・マンジュ・トゥー』をオープン。メニューは「シェフのおまかせコース」のみで、現在では1日に1、2組、1週間に3日間営業の紹介制として営業している。

料理を多角的な視点でとらえた分かりやすい説明が重宝され、調理師専門学校の講師や、レシピ本の執筆、テレビ、雑誌などでも活躍。しかし、最も大切にしているのはあくまでも料理だ。食べる人にとってベストな状態になっているかを常に問いかけ、スタッフにも仕上がりが本当にベストかどうかを論理的に考えさせるという。40年以上に及ぶ経験がありながらも、進化するために努力を欠かさず、普段から料理に限らずさまざまな知識を取り入れている。
※フレンチの重鎮『ル・マンジュ・トゥー』谷昇氏が語る「料理人として生きること」

映画『グランメゾン・パリ』の公開によって、「グランメゾン」にも注目が集まっている今。インタビューを読めば、「グランメゾン」シェフたちがどのように考え、どのように行動してきたのかがよく理解できるはずだ。シェフたちの考え方を参考にし、店舗経営にも活かしてほしい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com