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悪立地でも大ヒットの西新宿『サガノサカバ』。進化版“ご当地酒場”の勝ち筋

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佐賀から直送される鮮度の高いレバーを使った「レバテキ」(649円)が名物メニュー

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業態の間口を広げるため、郷土料理や奇抜な創作料理は置かない

『サガノサカバ』らしさが表れるのが、名物メニューとして新たに投入された2品だ。「ササミ海苔なめろう」(589円)はレア焼きにした新鮮なみつせ鶏をなめろう仕立てにし、「海老しゅうまい」(275円)は餡にみつせ鶏の挽き肉をミックスしている。

また、一品料理の「鶏だし玉子焼」(869円)は卓上に置かれた熱々の鉄板に鶏だしを合わせた卵液を注ぎ、お客の目の前で焼きあげる。

卓上で焼きあげる「鶏だし玉子焼」(869円)(画像提供:fun function)

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オリジナルのアレンジによって商品価値を高めているが、一方でご当地酒場ではあるものの、『サガノサカバ』にはがめ煮やだご汁といった佐賀の郷土料理をメニューに置いていない。

その理由について山内氏はこう説明する。

「ご当地の質の高い食材が差別化アイテムですが、料理はあくまでオーソドックスというのが基本方針。これは当社のご当地酒場全店に共通することなのですが、郷土料理を売りにすると業態の間口が狭まってしまいます。串焼きをメインアイテムにしているのも、みつせ鶏の旨味がストレートに伝わり、なおかつ居酒屋の王道メニューだから。サイドメニューも定番料理のアレンジにとどめ、奇抜な創作料理になり過ぎないよう心がけています」

アルコールは様々なタイプの佐賀県産の酒がメニューの柱で、中心価格帯は605~759円

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クラフトジンのロックに炭酸を添えて提供する狙いとは

既存のご当地酒場とメニューコンセプトに変化が加わっているのがアルコールメニューだ。

アルコールメニューは「ビール」、「ハイボール」、「サワー・酎ハイ」など9カテゴリー計43種をラインアップ。「佐賀ん酒」(日本酒)5種、「佐賀焼酎」5種、「佐賀の果実酒」3種、さらに「天山粕取ハイボール」(605円)といった佐賀焼酎のハイボールなど、佐賀の酒がメニューの柱になっているが、『サガノサカバ』で新たに投入されたのが、「佐賀クラフトジン」だ。

759~1,089円で5種を揃える佐賀産の日本酒がアルコールの売れ筋。佐賀産の本格焼酎5種も揃える

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小城ジン、スティルダムジン、XY GINという佐賀産の主要なクラフトジンブランドを網羅し、計11銘柄を用意。ユニークなのがその提供方法で、クラフトジンはロックで提供し、炭酸を注いだガラス製の徳利を添えるスタイルを採っている。

「クラフトジンは銘柄ごとに異なる豊かな風味が特徴です。ソーダ割りで提供するとその魅力が損なわれますし、ロックだとアルコールが強いと感じる人も多い。そこで、ロックでまず香りを楽しんでいただき、炭酸を添えることで好みの濃さに割って飲んでいただけるようにしました」(山内氏)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。