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悪立地でも大ヒットの西新宿『サガノサカバ』。進化版“ご当地酒場”の勝ち筋

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佐賀クラフトジンの価格は990~1,760円。客単価が上がりすぎないようにするため、単品原価率はやや高めにし、値づけを抑えた

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「見つけるのにひと苦労した」が店の存在を印象付ける

店舗規模は23坪46席。冒頭で山内氏が語っていたように店はファサードの視認性が悪いビル地下1階に入居しているが、「『見つけるのにひと苦労した』という経験が店の存在を印象づける」(山内氏)という考えから、ビルのエントランスに立て看板などは置いていない。

ひと目だけだと飲食店があるとは思えないビルのエントランス

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店につながる下り階段の踊り場に屋号を記した段ボールの切れ端を吊り下げ、階段を降りた先にある店のエントランスはビニールシートの扉。不安が一瞬よぎるが、ビニールシートを開けるとそこにはオープンキッチンの開放的なフロアが広がる。

ご当地酒場の既存店は木目を基調にした内外装が多いが、『サガノサカバ』はレンガ、オフホワイトの塗装、コンクリート剥き出しの3種の壁面をミックスした内装でアンダーグラウンド感を表現。一方、フロアはカウンター席、テーブル席、ベンチシート席など幅広い客席を用意し、ひとり客やカップル客、グループ客など幅広い利用動機に対応している。

地階に下る階段の踊り場に設置された防犯用の扉。そこに屋号を書き込んだ段ボールを貼っているが、段ボールも手で切り取って隠れ家らしさを演出した

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売上は右肩上がり。23坪48席の規模で月商1,000万円突破を目指す

一方、山内氏は「ご当地酒場としての表現方法を変えてはいるものの、重視するポイントは変わりません」と語る。

それがよく現れているのがサービススタイル。同社の接客で重視するのが産地や食材の魅力をスタッフそれぞれの言葉で伝えることだという。そのために社員は研修旅行として産地を訪問し、生産者の視点を学ぶために鶏の解体を経験。また、道の駅などを回り、現地の食材についてスタッフ自らが情報収集をし、それを接客トークに活かしている。

『サガノサカバ』のサービスで、この方針が活きた事例がクラフトジンの案内ノートだ。取り扱っている全銘柄の製造所名やボタニカルの他、関連した豆知識を写真付きでクリアファイルに整理。「案内ノートはスタッフが自発的につくりましたが、とくにクラフトジンを飲み慣れていないお客さまから『分かりやすい』と好評です」と山内氏は言う。

スタッフお手製のクラフトジンノート。クラフトジン初心者向けに銘柄それぞれの特徴をわかりやすくまとめている

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狙い通りに来店客はメインターゲットである30代~50代のオフィスワーカーが中心。クラフトジンなどトレンドを意識した工夫によって若い女性客の来店も多いという。

目標売上に掲げているのは月商1,000万円。「店の認知度がじわじわと上がっており、それに比例するように売上げも右肩上がりで伸びています。このペースでいけば2025年中に目標達成できるでしょう」と山内氏は力強く語る。

『サガノサカバ』
住所/東京都新宿区西新宿1-18-16 西口栄ビルB1
電話番号/03-6258-5221
営業時間/11:30~14:00、17:00~23:00
定休日/日曜、祝日
席数/46
https://www.instagram.com/saganosakaba/

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。