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坪月商45万円の赤羽『酒呑中華コテツ』。働きやすさ追及し“味”と“数字”を両立【連載:居酒屋の輪】

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『酒呑中華コテツ』の店主、横村雅之さん

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紹介の輪を広げながら名店のノウハウを探る連載企画。今回は『炉端と酒 きいと』の坂上純さんが「とにかく料理がおいしい!」と教えてくれた赤羽の繁盛店へ。おいしさの秘訣は、意外にも「楽しく働ける場所」にあるという。

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繁華街を避け赤羽の生活圏に密着

「赤羽は、薄利多売で大量出店する居酒屋の多いエリアですが、働く環境が伴っていないと、どこかで必ずひずみが生まれると思います」と話す横村雅之さん。2022年12月9日にオープンした『酒呑中華コテツ』の店主である。

ビール1杯、料理1皿が500円を超えれば割高と認識されてしまう赤羽の街。飲んべえの聖地として知られるが、居酒屋経営者にとって新規参入の難しい激戦区だ。

「例えば1皿500円以下のおいしいメニューを作るには、原価を抑えて手間をかける必要があります。それが飛ぶように売れれば、料理人の負担が増えるんですよ。クイックメニューを増やすのも解決策のひとつですが、腕の良い料理人ほど『自分のやりたい仕事ではないな』と感じるようになります」

そうして料理人の気持ちが離れてしまえば、結果的に料理の味も落ちてしまう。価格の安さを売りにするのではなく、おいしい料理を求めて訪れるお客に、楽しく飲んでもらえる居酒屋を作りたかった横村さん。流動客の多いメイン通りを避け、あえて人通りの少ない場所に出店したという。

中華の要素がひと目で分かるファサード。和風のコタツが合わさることで個性や温かみも伝わる

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「この通りは周辺で暮らす方々の生活圏。近所のビストロやイタリアンの客入りが上々なのも安心材料でした。さらに周りに迷惑をかけるような泥酔した客層も見当たりません。地元のお客さまが落ち着いて飲める環境だと思ったんですよ」

赤羽駅東口から徒歩3分、9坪ほどの店舗は元々アパレル関連のショップだった。ガスや水道も通っていなかったため、初期投資はかさんだという。1,500万円ほど借り入れたものの、オープン初月から黒字が続き約1年半で完済。お客の約8割はリピーター、月商も400万円ほどと安定した売上が続く。

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。