恵比寿の“ちょっといい居酒屋”『ゆうゆ』。成功の鍵は、引き算オペレーションとスタッフ成長力
即戦力化のオペレーションでスタッフの成長を加速!
その一方で御幸さんが重視するのは、シンプルで再現性の高いオペレーションだ。実践で活躍して経験を積むことが成長の近道と考え、新人でもすぐに厨房に立てる仕組みを構築した。「複雑なオペレーションだと、できる人とできない人が分かれてしまう。入社した瞬間から、誰でも高いクオリティを維持できる仕組みが大事です」と御幸さん。例えば、メニューは日替わりで約40品を用意するが、細かな作業はできる限り削ぎ落としているという。
「例えば、かつらむきを専門的に修業してきた人の技術には、僕だって勝てないんです。もちろん僕自身は小魚を捌いたり野菜を切ったりといった修業もしましたけど、今うちに入ってくる子に必ずしもそれは求めません。専門的な技術で勝負するのではなく、盛り付けの美しさや味の創造性を追求してほしい。とにかくお客さまにおいしいって思ってもらって、喜んで帰ってもらうことを追求したいです。そういったクオリティに影響しない細かな作業が発生しないように試行錯誤していったんですよ」
オペレーション重視の店が多いのは事実だが、恵比寿『ゆうゆ』は客単価の高い “ちょっといい居酒屋”。名店ひしめく恵比寿の新橋通り、しかも駅から遠い立地で地元のグルメ客を満足させるのは難しいはずだ。しかし、こうしたシンプルなビジョン設定が、スタッフの創造性を引き出し、独自のサービスを生み出す土壌となっている。
この考え方は、スタッフに負担をかけず、モチベーションを維持するのにも役立つ。結果として、未経験者でも数か月で厨房を回せるようになれば、チーム全体の生産性が向上する。
本質的なクオリティを重視しながら無駄を削ぎ落とした「引き算のオペレーション」は、どこか和食の美学にも通じるものがある。食材本来の魅力を引き出すために創意工夫を続けてきた哲学が、人材育成にも影響しているのだろう。
複雑な技術を排除し、誰でも即戦力化できる仕組みは、人材不足が課題となる現代の飲食店経営において再現性の高いモデルだ。スタッフのモチベーションや定着率を高め、育成を促し、さらには顧客満足度を向上させる一石三鳥の取り組み。恵比寿という競争の激しいエリアで地元客を惹きつける「引き算のオペレーション」は、今後の飲食店経営の目指すべき姿のひとつと言える。
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『ゆうゆ』
住所/東京都渋谷区恵比寿2-6-26 TQ恵比寿1F A
電話番号/070-3366-5750
営業時間/17:00~23:30
定休日/無休
坪数・席数/15.8坪・27席
https://www.instagram.com/yuyu_ebisu/
