飲食店ドットコムのサービス

池尻大橋『洋食api』の“地域住民を呼ぶ店づくり”。駅から徒歩10分も、リピート率は約8割

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

『洋食api』を手がける株式会社2TAPS代表取締役の河内亮氏(前列左端)と店舗スタッフのみなさん

画像を見る

三軒茶屋『三茶呑場マルコ』『食堂かど。』や、下北沢『下北六角』、『虎ノ門 楽㐂』など、和食居酒屋を展開してきた株式会社2TAPS。同社が2025年7月、旧池尻中学校跡地をリノベーションした複合施設「HOME/WORK VILLAGE(ホームワークビレッジ)」に新業態『洋食api(アピ)』をオープンした。東急田園都市線の池尻大橋駅から徒歩10分、三軒茶屋駅からも徒歩16分という立地ながら、集客が好調であり、地域で人気を集めている。

なぜ彼らは、新たな挑戦でこれほどの結果を出せているのか。代表取締役の河内亮氏に話を聞くと、地域との共生、固定観念にとらわれない店づくり、そして未来を見据えた人材育成など、これからの飲食店経営のヒントが詰まっていた。

>>飲食店“専門”の求人サイトだから即戦力が見つかる。社員とアルバイトまとめて19,800円で掲載可!

世田谷区による産業活性拠点創出事業として誕生した複合施設で、1階に飲食、物販やサービスなど14店舗が入居する「HOME/WORK VILLAGE」

画像を見る

昼は洋食店、夜はワインを楽しめるイタリアン&スパニッシュ

店のコンセプトは「2つの顔を持つ街の洋食店」。昼はファミリーやオフィスワーカーが気軽に立ち寄れる洋食店、夜は本格的な料理とワインを楽しめるワイン酒場へと姿を変える。

今回の出店のきっかけは、下北沢「BONUS TRACK」や「reroad」を手掛けた小田急電鉄の企画チームとの繋がりだったという。「HOME/WORK VILLAGE」自体が、世田谷区がコロナ禍で疲弊した小規模事業者を支援し、地域産業を活性化させたいという思いから始まったプロジェクト。運営を委託された小田急電鉄としても、単なる利益追求ではなく、世田谷区に縁のある企業で、「学び」や「地域貢献」といったコンセプトへの共感が、出店の重要な決め手となった。

公園側にはテラス席もあり、アウトドアチェアやウッドデッキも利用できる(写真提供:2TAPS)

画像を見る

「テナントの公募はかなりの応募があったそうですが、なかなか決まらなかったようです。そんな中、昨年の11月頃に私たちに声がかかりました。小田急さんからは『営利目的の物件ではありませんが、新業態の出店をしてみませんか』というお話をいただいたんです」と河内氏は振り返る。

これまで同社は、世田谷区を中心に和食居酒屋を展開してきた。地域に密着し、人と人との繋がりを大切にする店づくりは、今回の施設のコンセプトと合致する。しかし、求められたのは既存業態の横展開ではない。「居酒屋でワイワイ」というイメージとは異なる、新たな挑戦。その申し出は、偶然にも社内の状況と完璧に噛み合ったという。

グループ利用を目的とした公園側にはソファ席があり、子連れ利用もしやすい(写真提供:2TAPS)

画像を見る

「たまたま、そのタイミングでスペイン料理やイタリア料理の経験を持つシェフ、さらにはパティシエも入社を控えていて『これは良縁だ』と思い、挑戦を決めました。施設が元学校であることから、給食のような懐かしさのある『洋食』というテーマが自然と浮かび上がってきたんです」

店名の「api」はラテン語でミツバチを意味する。幸せを運び、巣を広げていくミツバチの姿に、店の未来への願いを込めた。また、グループ8号店であることにも掛けている。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。