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坪月商60万円と好発進の『虎ノ門 楽㐂』。2TAPSに学ぶ“商業施設出店”の兵法

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『虎ノ門 楽㐂』を手がける株式会社2TAPS代表取締役の河内亮氏(左端)と店舗スタッフたち

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2024年1月16日(火)、森ビルが手がける大型複合施設「虎ノ門ヒルズステーションタワー」4階に、“NEXT JAPAN”をテーマにした和食居酒屋『虎ノ門 楽㐂(らっき)』がオープンした。手がけるのは『三茶呑場マルコ』を皮切りに三軒茶屋に4店舗を運営し、2022年には下北沢に『下北六角』の出店を果たした株式会社2TAPS。初めての世田谷区外、縦型商業施設への出店戦略について2TAPS代表取締役の河内亮氏に聞いた。

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『三茶呑場マルコ』運営会社が「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に出店

2014年12月、アパレル業界出身の河内亮氏と小柴直哉氏が和食と地酒、自然派ワインが味わえる『三茶呑場マルコ』を開業したことを皮切りに、2017年9月にカウンターと立ち席のみの『ニューマルコ』、2018年11月に立ち飲みスタイルの酒場『コマル』、2020年5月に『食堂かど。』をオープンさせた2TAPS。各店とも飲食店激戦区・三軒茶屋に立地しながらも、坪月商70万円超えという繁盛ぶりを見せている。2022年に下北沢にオープンした『下北六角』も坪月商70〜80万円と売上は上々だ。

そんな世田谷区でドミナント出店を行なってきた2TAPSが、森ビルが手がける大型複合施設の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に出店を果たした。

「『虎ノ門ヒルズステーションタワー』に『Lampada』を出店しているダルマプロダクションの古賀慎一さんとは以前から懇意にさせていただいていて、古賀さん経由で『和食部門の飲食店を探している』と出店のお話をいただきました。『コミュニケーションを大切にする日本の居酒屋文化にフィーチャーしたお店にしたいです』と交渉し、森ビルの方からも快諾いただけて出店に至りました」と河内氏はその経緯を明かす。

あわせて会社のフェーズも、次のステップへと進むタイミングに来ていたことが出店への後押しになったという。

店内は寿司をしっかり味わいたい人向けの右手カウンターに、お酒をじっくり味わいたい人向けのコの字カウンター、ゆっくり食事を楽しみたい人向けのテーブル席と3エリアで構成

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「社員も増えてきて、和食の料理人や高級寿司店の職人だった人などが『もっとお客さまと向き合う仕事がしたい』と集まってきていました。町場のお店だけでなく、彼らにスキルを発揮してもらうような事業拡大を行いたいという思いと、マルコグループとしてハイパフォーマンスな業態に挑戦してみたいという考えがリンクしたんです」とさまざまなタイミングが合致したことも影響したと話す。

さらには大型商業施設への出店を行い業態の幅を持たせることで、既存スタッフの働く意識の向上など、スタッフマネジメントの側面でも良い影響があるのではないかと考えたという。

商業施設への出店はコスト面での不安が大きく、出店に難色を示す事業者も少なくない。しかし河内氏は「やってみてから判断したいと思った」と話す。ランニングコストは高いが、コロナ禍のリーシングだったということもあり比較的手が届く賃料だったということで、挑戦しがいがあると判断したという。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。