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17坪で月商1,000万円。御徒町『まつうら食堂』の「二枚看板+α」戦略の全貌

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『おでんと焼売 まつうら食堂』を運営する株式会社テンミリオンの羽毛田誠社長

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串焼きと天ぷらの二枚看板戦略によって売上を倍増させた東京・御徒町の『串焼きと天ぷら 春子屋』。そのメニュー戦略を分析した記事は読者の反響も大きかったが、同店を運営する株式会社テンミリオンがこの戦略を初めて導入したのが同じ御徒町エリアに店を構える『おでんと焼売 まつうら食堂(以下、まつうら食堂)』だ。

17坪34席+テラス8席の小箱の店ながら、2021年3月のオープンから着々と売上を伸ばし続けており、2025年12月には最高月商1,100万円をマーク。その好調な売上を支えるのは、おでんと焼売を名物メニューに据えた二枚看板戦略に加え、もう一つのメニューの柱である釜めしやサイドメニューに投入した目玉商品との相乗効果だ。その緻密なメニュー構成の狙いを羽毛田誠社長にうかがった。

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『串焼きと天ぷら 春子屋』と同じ御徒町エリアだが、JR御徒町駅からやや距離がある閑静なエリアに店を構える

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リニューアルによって月商600万円が1,000万円にアップ

『まつうら食堂』は移転リニューアルの形を採り、オフィスと住宅が混在した東京・御徒町の閑静なエリアに2021年3月にオープンした。

その前身は同じ御徒町エリアに店を構えていた『鮮魚・串焼き・釜めし まつうら(以下、まつうら)』。屋号の通り、この店は刺身、串焼き、釜めしをフードの柱にしていたが、「卓上調理する釜めしは差別化アイテムだったものの、刺身、串焼きはきわだった商品の特性があるわけではなく、メニュー構成としてはフルライン型の総合居酒屋でした」と羽毛田社長はその業態について説明する。

40坪88席の規模で平均月商600万円。最高月商でも800万円が関の山だったことから、コロナ禍の2021年3月にいったん撤退することを決意。『まつうら食堂』として再スタートを切ることになるわけだが、これが大当たりした。

客席はコの字型カウンター18席の他、テーブル、座敷、テラス各8席の計42席で構成される

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店舗規模は17坪34席+テラス8席に大幅にサイズダウンしたものの、客単価は『まつうら』の3,000円から4,700円にアップ。そして、オープン1年目に月商825万円を売り上げると、それ以降も業績アップを続け、直近1年間の月商は1,000万円に到達している。

さらに収益性も非常に優秀だ。『まつうら』時代は鮮魚がネックになり、原価率は34%に達していたが、それを26%に圧縮。人件費率も28%に抑えており、償却前営業利益率は23%を確保している。

専門性と大衆性を併せ持つことが二枚看板の狙い

屋号に掲げている通り、おでんと焼売が『まつうら食堂』の看板商品。「コロナ禍によって離れてしまったお客さまを呼び戻すには明確な売りが必要」という考えから、二枚看板戦略を取り入れたわけだが、さらにおでんと焼売をドッキングした狙いを羽毛田社長はこう説明する。

写真手前から時計回りに、「手作り肉焼売 蒸し」(1個329円)、「揚げ」(1個329円)、「煮干し出汁おでん おまかせ7種」(1,869円)

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「焼売は専門性、おでんは大衆性を打ち出すためのアイテムとして捉えています。ただ、おでんは客層、利用動機を広げてくれるものの、季節変動が大きくなることが弱点。冬のイメージが強いおでんに、当時、焼売酒場としてトレンド商材でもあった焼売を組み合わせることで夏場の売上ダウンを抑えることを狙いました」

実際の売上変動を見ると2025年8月は月商600万円、12月は1,100万円。夏季、冬季の売上変動は大きいものの、おでん店の夏季の売上は冬季の5割以下、差の大きな店は3割まで下がるというデータもあることから、狙い通りに下げ幅の軽減につながっているといえよう。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。