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飲食店火災の52%は「うっかり」が原因。防火対策の基本の「き」

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昭和ロマンあふれる飲み屋街で火災発生!

4月12日、東京・歌舞伎町の飲み屋街「新宿ゴールデン街」で火災が発生した。現場となったのはバーが入る木造2階建ての建物で、隣接する建物にも火が燃え移り、計3棟、約300平方メートルを焼いた。13日の報道によると、出火直前、出火元とみられる建物に不審な男が出入りしていたことがわかり、警視庁は60代の男性を建造物侵入容疑で逮捕。放火の可能性も視野に入れて調べを進めている。

飲食店の火災は、この20年で1.5倍も増加

今回の火災は放火の疑いもあるとのことだが、飲食店は火を扱うため、常に火災の危険性を認識しておかなければならない。そこでここでは、飲食店の火災予防対策について消防庁の資料を参考に紹介していく。

飲食店で起きる火災件数は年々増加傾向にある。東京消防庁管内における火災件数は、近年は300件前後で推移。20年前の平成8年ごろは200件弱なので、約1.5倍も増加している計算だ。

その背景には、調理手法の多様化、厨房設備の高火力化の影響などが指摘されている。また、店舗営業時間が長時間化し、昼夜を問わず厨房設備を使用するため、メンテナンスに時間を掛けられなくなってきていること、さらにアルバイト従業員への依存率が高まり、火の取り扱いに慣れた料理人が減ってきていることも理由として挙げられているようだ。

火災の多くは、従業員の「うっかり」が原因

飲食店における火災は、そのほとんどが厨房のガス機器を火元として発生する。原因の多くは人的要因によるもので、ガス機器の使用を「放置する・忘れる」ことによって発生した火災が全体の52%を占める。その他の原因としては、「接炎する」が14%、「過熱(熱くなり過ぎる)」が13%、「伝導過熱」が7%と続く。

繁忙時の厨房はまさに戦場だ。鍋を火にかけながらほかの作業をすることなんて日常茶飯事だし、それをうっかり忘れて、ふきこぼしてしまった経験を持つ料理人も多いことだろう。しかしこの“うっかり”こそが火災の一番の原因になっている。厨房スタッフを集めて定期的に防火教育をおこなうなど、火の危険性を常に意識できるような仕組みづくりをしていくことが大切だ。

こうした人的要因のほかにも、清掃不足によって火災が発生することもある。たとえば焼肉店の無煙ロースターがそうだ。内部に油塵が付着し過ぎていると、吸気口から炎を吸い込んだ際に火災に繋がってしまうケースも。また排気ダクトも同様で、清掃を怠っていると、火災を起こした際に延焼を引き起こす大きな原因となる。排気ダクトから延焼すると建物全体に火が燃え広がるので、定期的に専門業者を呼んで清掃をおこなうことが必要だ。

スタッフ全員で防火に取り組むことが大切

では最後に、「全国飲食業生活衛生同業組合連合会」の資料から飲食店における火災予防策を抜粋して紹介する。

1、店内・店外に引火しやすいモノをやたらに置かない
2、コンセント(特にほこり)を定期的にチェック
3、店内の火元となりそうな箇所をリストアップ
4、防火管理者を置き、防火体制づくりを行う
5、さらに、防火対象物点検資格を取得する
6、火災警報器など定期的な点検を実施する
7、万一の時は、迅速に「通報」「初動消火」「非難誘導」

これらの対策をしつつ、火災の一番の原因が人的要因であることを認識し、スタッフ全員で火の危険性を認識できるような教育体制を敷くのがベストだ。防火管理者を中心に、いま一度、火災予防策について話し合ってみてはいかがだろうか。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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