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福岡の行列ができる定食屋『梅山鉄平食堂』。原価率40%超えも「満足度優先」で大繁盛

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お話をうかがった『梅山鉄平食堂』の店主・梅山鉄平さん。撮影=吉野英昌

品書きには常時40種を超えるメニューがずらり。大通りから少し入ったわかりづらい場所にありながら、連日開店前から行列ができる福岡『梅山鉄平食堂』。今回はオープンして10年目に突入したこの店の店主・梅山鉄平さんに、オープンに至るまでの歩みや、店やメニューをつくるにあたっての工夫などを聞いた。

定食屋さんを開くと決意したのは28歳。技術・ノウハウを貪欲に学ぶ

店主・梅山鉄平さんが定食屋さんをしたいと考えたのは28歳のとき。それまではバーでのサービスやレストランでの調理を担当していたそう。「パーソナリティでお客様に支持され続けることへの限界を感じ始めて、自分が独立してやることではないなと思ったんですよね。私、こう見えて安定志向なんです。サラリーマン気質のようなところがあって、年を取っても働き続けられるお店がいいなと考えました。また、特別な日に来店してもらうのではなく、日々の暮らしの中に存在するようなお店にしたいという思いもあって、自分自身も好きだった“定食屋さん”にいきついたんです」と、梅山さんは当時を振り返る。

しかし、梅山さんは定食屋さんで働いた経験がなかった。そこで彼が取った行動は、昔からある定食屋さんと、当時、一番勢いがあった定食屋さんで働くこと。前者は『味の正福』、後者は『わっぱ定食堂』である。今なお福岡で高い支持を集める2つの店で、梅山さんは経験を積んだ。

「『味の正福』はもともと好きなお店で、自分がやりたいことに近い存在でした。一方、『わっぱ定食堂』は隙のないお店。私はよくプライベートでも飲食店に行くのですが、多くのお店で『ここが気になるな』『もっとこんな風にしたらいいのにな』って思うんですね。けれど、『わっぱ定食堂』はそれがなかったんです。そこを勉強したいと思ったんですよね」。

『味の正福』では魚のことや店の雰囲気づくりを、『わっぱ定食堂』ではいかに効率よく店を運営していくかを学んだ梅山さん。いよいよ独立かと思いきや、「生きた魚を刺身にできるまでの技術を身に付けたい」と、「藤けん鮮魚」が営む居酒屋『ふじけん』でさらなる経験を積む。

「鮮魚が売りの『味の正福』でも生きた魚をさばくことはなくて。『藤けん鮮魚』は魚の締め方にこだわりを持ったオーナーが営む鮮魚店。午前中は鮮魚店の方で生きた魚を大量にさばいて、午後から居酒屋に入るという日々を過ごしました」。

「誰よりも慎重な性格」(本人談)の梅山さんは、ここまでしっかりと準備を整えた上で、ようやく独立を果たす。

定評のある煮付け定食

魚種を選ばず仕入れ、無駄なく使い切る

渡辺通という立地を選んだのも戦略的だった。「オフィス街だと平日の夜や週末は難しいし、住宅街だと平日の昼間の集客に不安があります。天神や博多駅などのど真ん中ではなく、オフィス街と住宅街の間のような場所に出せば、平日も週末も昼も夜もお客様に来ていただけると考えました」。

天神からも徒歩圏内でありながら、天神よりも家賃を抑えることができる。それが渡辺通だったのだ。

「店づくりのベースは『味の正福』です。『味の正福』はとても素晴らしいお店でしたので、そこに自分の個性を足していけば、自分がやろうとしている店になると考えました」。そして肝心のメニューづくりにも、梅山さんらしい工夫があった。

開業当初は毎日、鮮魚市場まで仕入れに行っていた梅山さんだが、現在は魚の8〜9割を修業先でもある「藤けん鮮魚」から仕入れる。

「うちの店は魚種を選ばないんです。ほかの鮮魚店からも買うけれど、そこでも選ばないですね。魚屋さんの値付けってけっこう流動的で、100円で仕入れたものを1匹1000円で売ることもあれば200円で売ることもある。100匹買ったとしたら、1匹1000円で売ってある程度の利益を得られれば、余ったものは50円で売ってもいいわけです。もちろん、『藤けん鮮魚』が仕入れる魚への信頼があるからこそ、そういった仕入れ方ができるわけですが、数がなくても“○○定食(限定○品)”とかにしちゃえばいいわけで。魚屋さんは仕入れた魚を余らせずに済みますし、自分たちも安く仕入れることができる。お互いにとってメリットがあるんですよね」。

メニューに載せる魚種は常時12〜13種。1つの種類を刺身、煮魚、焼き魚などにすることで定食の種類を増やしているが、一方で、仕込みにもちょっとした工夫がある。刺身にするか、焼くか、煮るかによって事前の処理は異なってくるが、たとえばアジの場合、内臓と鱗を取るという共通の部分までの処理をしておき、オーダーが入ってからそれぞれの処理を行なうのだ。

「ほかの定食屋さんに比べると、提供するのに時間がかかるかもしれません。けれど、そうすることで、仕入れた魚を廃棄することなく使い切ることができるのです」。

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寺脇あゆ子(cadette)

About 寺脇あゆ子(cadette)

福岡・大阪の出版社勤務を経て、福岡を拠点に活動するフリーの編集者・ライター。グルメ情報誌『ソワニエ』やシティ情報ふくおか別冊『福岡肉本』などの地元情報誌のほか、ぐるなびが運営する『dressing』、スイーツ専門の『CAKE.TOKYO』、ウェブマガジン『greenz.jp』などのウェブメディアでも九州・福岡を中心とした情報を発信している。