スターバックスが定番商品を値上げ。コーヒー豆、人件費の高騰に対応

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8年ぶりに商品改良なしに値上げ
スターバックス コーヒー ジャパンは2月15日から、「ドリップコーヒー」をはじめとした主力商品を10~20円値上げした。商品改良などを伴わない価格改定は8年ぶりで、ドリンクメニューの3割が対象になった。
同社は値上げの理由を「店頭で販売している商品の価格体系を、現在の経済環境など様々な視点から慎重に検討した結果」とし、具体的には「コーヒー豆を中心とした各種原材料、人件費、物流コストの高騰」を挙げている。
野生種コーヒーの5分の3が絶滅の危機?
値上げに踏み切った理由のひとつに「各種原材料」、つまり“コーヒー豆”が挙げられているが、供給の現状はどうなのだろうか? 約1か月前に気になる研究論文が発表されている。
英ロンドンにあるキュー王立植物園の研究チームが、「野生種コーヒーの5分の3に絶滅の危険性がある」と発表したのだ。気候変動、病気、森林伐採の組み合わせが原因だという。スターバックスが使っているアラビカ種は、世界で飲まれるコーヒーの総量の約60%を占める重要な品種だが、「絶滅危機」に陥ってしまっているという。研究からは、短期的には供給不足の問題があるわけではないが、長期的には、コーヒーを「資源」と捉え、守るための行動が必要不可欠であることが明らかになった。

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コーヒーが「サステナブル」になれば、幸せが広がる
コーヒーに限らず、「値上げ」が起きると目の前で起きる消費への影響や業界の動きに目をやりがちだ。しかし今後は、ぜひ考えたいことがある。それは「SDGs」だ。SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、国連加盟国が2030年までに果たすべき「持続可能な開発目標」のことだ。
コーヒー豆の80%は途上国で栽培されている。コーヒーが絶滅危機にあることは、コーヒー生産者や従事者の労働環境の悪化や所得の低下を招きかねない問題でもある。コーヒーをサステナブルにするための取り組みは、生産者や従事者を守り、地球環境への意識を高め、さらには私たちが美味しい一杯を飲み続けられることにつながっていくのだ。
同社のホームページには、「環境・社会・経済・品質などのあらゆる面で責任を持って育てられ、倫理的に取引されたコーヒー豆を買い付ける」という表明がある。こうした取り組みが今回の値上げにも少なからず影響しているのだろう。
