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酒類提供の自粛で「居酒屋」は深刻な売上ダウン。外食全体は前年同月比プラス19%

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日本フードサービス協会が、2021年5月の外食産業市場動向調査の結果を発表。外食全体の売上は、前年同月比で119.8%と増加しているものの、コロナ前である前々年の同月比では80.2%(19.8%減少)という結果となった。緊急事態宣言・まん延防止措置により、飲食店は時短営業や酒類提供自粛を余儀なくされたことが大きく影響したとみられる。

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中食需要を取り込み、前年の緊急事態宣言時より売上増加

外食全体の5月の売上は、コロナ前と比べると深刻な落ち込みをみせているが、最初の緊急事態宣言が発令された前年同月と比較すると19.8%増加。これは1回目の緊急事態宣言に比べて街の人手が増加していること、また多くの飲食店がテイクアウトなどの中食需要を取り込んだことが要因とみられる。

なかでも好調なのが「ファーストフード」業態だ。テイクアウト・デリバリーの利用が増えたことで業態全体の売上が前年同月比13.3%増、前々年の同月と比べても3.9%増となっている。そのうち「和風」はトッピング類など高付加価値メニューが支持されて客単価の上昇に繋がり、売上が前年同月比で12.1%増加した。

「ファミリーレストラン」業態でもテイクアウト・デリバリーが健闘し、全体売上が前年同月比29.1%増加。一方で緊急事態宣言の対象地域では各店が時短営業を行ったため、前々年同月の売上と比べると65.4%にとどまる結果となった。

「焼き肉」業態に関しては、郊外店舗に家族連れのお客が戻り好調。コロナ前と比べると売上は65.4%だが、休業する店舗が多かった前年同月と比べると35.5%増加した。

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酒類提供自粛で「パブ・居酒屋」は厳しい状況が続く

調査結果から、食事主体の業態や家族連れに強い業態、また中食需要を取り込むことができた業態は前年同月比で売上を伸ばしている様子がうかがえる。一方、前年同月と比べても厳しい状況が続いているのが「パブ・居酒屋」業態だ。

今年4月に発令された緊急事態宣言および、まん延防止措置対象地域では、酒類を提供する飲食店への休業要請が出されたため、多くの店舗が酒類提供の自粛を余儀なくされた。「居酒屋」は、売上が激減した前年同月と比べても4.1%減。「パブ・ビアホール」は前年同月比で売上197.9%だが、前々年の同月と比べて1割程度の売上に落ち込んでいる。

「ディナーレストラン」業態も、酒類提供自粛の影響で集客に苦戦したため、売上が低迷。休業する店舗が多かった前年同月と比べると売上は168.1%になったものの、前々年の同月比では49.7%となった。また、「ファーストフード」業態でもラーメン店などでは酒類提供自粛の影響が大きく、前々年の同月比で73.1%にとどまった。

「緊急事態宣言」や「まん延防止措置」の影響を受けた5月の外食売上は、酒類を提供する業態で特に落ち込みが深刻なものとなった。2021年7月現在も飲食店への時短要請や酒類提供に関する制限は続いており、外食全体の売上回復への兆しはなかなか見えない状況だ。

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。