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コロナ禍における飲食店の雇用状況は? 正社員では過剰感も、アルバイトは不足の声

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画像素材:PIXTA

今年6月の有効求人倍率(「求職者1人につき、何件の求人があるか」を示すもの。厚生労働省が毎月発表している景気動向指数のひとつ)は1.13倍で、5月から0.04ポイント上昇した。新規求人数は製造業などで増加しているが、宿泊業や飲食サービス業では減少し、雇用情勢は業種によってバラつきがあるようだ。そこで、帝国データバンクは人手不足に関する企業の見解について調査を実施。今回は、その調査結果を紹介していく。

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調査期間:2021年7月15日(木)~7月31日(土)
調査対象:全国24,285社
有効回答数:10,992件
※詳しい調査結果はこちら(※PDF資料)

2020年と比較すると正社員の人手不足を感じる企業が増加傾向

まずは、正社員の過不足状況を見ていきたい。正社員が不足していると回答した企業は40.7%で、コロナ前の2019年7月と比べると7.8%減少しているものの、2020年7月からは10.3%増加した。

正社員の人手不足割合は、2020年5月(29.1%)を底にして再び上昇傾向

正社員が不足している企業を規模別に見ると、大企業で46.2%、中小企業は39.6%、中小企業のうち小規模企業は36.2%。全ての規模で、正社員の人手不足の割合は2020年5月~6月以降上昇傾向が続いている。

業種別では、建設(57.5%)、自動車・同部品小売(57.1%)や輸送用機械・器具製造(47.3%)、情報サービス(54.7%)などで正社員の人手不足が目立つ。

少子高齢化などの影響により職人不足が進む「建設」では6割弱が人手不足を感じている

飲食店など新型コロナの影響が大きい業種では、正社員が過剰

一方、正社員の人手が過剰だと回答した企業は13.6%だった。業種別の内訳は、観光需要の減退が影響している「旅館・ホテル(42.5%)」、外来診療控えが調剤薬局に影響を及ぼしていると見られる「医薬品・日用雑貨品小売(35.0%)」、アパレル関連の「繊維・繊維製品・服飾品卸売(31.4%)」、印刷需要の減退などが響いている「出版・印刷(30.6%)」、営業時間短縮などの影響を受ける「飲食店(25.5%)」が上位に挙がった。

観光需要の減退が影響し「旅館・ホテル」が 42.5%でトップ

このデータによれば、特に新型コロナウイルスにより経済活動に大幅な制限を受けている業種で、人手の過剰感が高水準になっていることがわかる。

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非正社員に関しては、56.4%の飲食店が「不足している」と回答

次に、非正社員の過不足状況を見てみると、不足していると回答した企業は 22.5%だった。そのうち規模別に見ると、大企業は21.7%、中小企業は22.7%、中小企業のうち小規模企業は 22.0%で、人手不足割合は全ての規模で前年同月から上昇した。

非正社員の人手不足を業種別にみると、「飲食店(56.4%)」、総合スーパーなどを含む「各種商品小売(48.8%)」といった個人消費関連の業種が上位に挙がっている。その他、ビルメンテナンスや警備業で不足の割合が高い「メンテナンス・警備・検査(44.0%)」、生産が回復傾向にある製造業向けの引き合いが高まっている「人材派遣・紹介(41.8%)」なども高水準だ。

ちなみに、厚生労働省中央最低賃金審議会の小委員会は7月14日、2021年度の地域別最低賃金の改定に関して、全国平均の時給を930円とする目安を発表。過去最大となった最低賃金の引上げ幅は、今後の企業の収益環境に大きな影響を及ぼしそうだ。

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。