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『ロイヤルホスト』2か月に1度の店休日を設定。ファミレス各社の労働環境改善の取り組み

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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『ロイヤルホスト』は2023年9月以降、一部店舗を除き、隔月に一度の頻度で店舗休業日を設定することを発表した。一方で、『ガスト』や『バーミヤン』を展開するすかいらーくホールディングスは、今春から深夜営業を再開。コロナ禍が落ち着き、次第に戻りつつある深夜の飲食需要に応えている。

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スタッフと店舗の休息でQSCA向上が狙い

ロイヤルフードサービスは、主力ブランドである『ロイヤルホスト』全222店舗中203店舗において、今後は隔月に1日のペースで計画的な店舗休業日を設定すると発表した。昨年には、元旦、大晦日、5月10日の計3日間、店舗休業日を設けていたが、今年は9月、11月にも1日ずつ追加し、年間で計5日間の店舗休業日を設定する。

また、2024年以降はさらに2日間多い、計7日間の店舗休業日を設定することをすでに発表している。つまり2023年9月以降は、2か月に1日のペースで店舗休業日が設けられることになる。

店舗休業日を増やした狙いは、店舗スタッフと店舗がリフレッシュできる休息日を持つことでQSCA(品質・サービス・衛生・雰囲気)のさらなる向上を図ることだ。店舗スタッフのケアという側面には、ロイヤルグループが掲げる人的資本投資の基本方針が背景にある。ロイヤルグループは、人材の確保・育成・働く環境の整備を最重要課題として、人材に対する積極的な投資を行っている。この計画的な店舗休業日の設定は、労働市場における外食産業の地位向上を掲げる同社の戦略的な取り組みだといえるだろう。

また同時に店舗休業日以外にも、店舗の安全を担保するため、設備点検や改修、定期清掃を実施し、快適な店舗づくりにも力を入れていくという。なお同社が展開する『天丼てんや』については、2024年の年明け2日間を店舗休業日に設定する。対象店舗は、全146店舗中123店舗。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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すかいらーくHDは深夜営業再開。人材不足はDX推進で解決を

一方、すかいらーくホールディングスが展開するファミリーレストラン『ガスト』『バーミヤン』『ジョナサン』では、コロナ禍で廃止していた深夜営業を今年3月から順次再開している。日中に比べ、深夜は特に人材確保や人件費高騰が深刻な課題となるが、同社で強化してきたDX推進による生産性向上が、その課題解決の一翼を担っている。

店舗での生産性向上事例として顕著なのは、レジ・会計業務の効率化だ。2022年中に全店で新POSレジを導入したことで、一日あたりの労働時間が30分削減されたほか、800台以上のキャッシュレス・セルフレジが導入され、その利用率は25%を超えている。また3,000台導入されたネコ型配膳ロボットの活躍で、配膳・ホール業務の負担も軽減されている。

本格的にポストコロナ時代を迎えた今、外食需要が復活したことで改めて人材リソースの課題が表面化している。ファミリーレストランを代表する上記2社では、その課題解決のアプローチに違いが見られた。外食産業の労働環境改善という視点で、今後の動きにも注目したい。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。