オープン半年で坪月商70万円に成長。『めしや ヒロキ倶楽部』の実力を徹底解剖
フードメニューで重視したのは「分かりやすさ」
「小料理屋の入口」として機能させるために『ヒロキ倶楽部』ではさまざまな工夫が凝らされている。ひとつがファサード。「小料理屋は閉鎖的な造りになっていることが多いのですが、どんな店なのかが分からないと若者は入店しにくい。そのため、ファサードはガラス面を広くとり、通りから店内の様子を見られるようにしました」と村野氏は言う。
また、フードメニューを組む上で重視したのが分かりやすさだ。
季節感を打ち出すためにフードメニューは月替りとし、「ひとまず。」「菜」「焼。暖。煮。蒸。」などのカテゴリー別に約40品を揃えている。そのうち固定メニューは15品ほどで、売れ筋は「倶楽部のポテトサラダ」(748円)、「本気のアジフライ」(1,408円)、「ねぎ塩和牛ユッケ」(1,628円)、「厚切り牛タン」(1,628円)など。居酒屋や焼肉店の売れ筋メニューをアレンジした商品を中心にしており、その他の商品についても「商品名を見て料理をイメージできないものはメニューから除外している」(村野氏)という。
画像を見る注文トップのポテトサラダのジャガイモはおでん鍋に入れられており、注文ごとに皮剥きし、マッシュして作り立てを提供。『つむぎ堂』の売れ筋である「茹でたん」をグレードアップした厚切り牛タンは単品原価率45%を投じ、1.5cmに分厚くカットして商品力を高めている。
画像を見る若者心理を考慮し、メニュー表の漢字にフリガナを振る
レギュラーメニュー以外の商品も若者を意識した細かな工夫が施されている。
『菜』カテゴリーには旬の野菜を用いた商品を揃えるが、「京都 大黒本しめじ 肉巻き」(968円)であれば、単に本しめじの焼物ではなく、肉巻きにしているのがポイント。「商品名に『肉巻き』が付くか、付かないかで注文数が大きく変わる」と村野氏は言い、また味付けも「若者に馴染みのある味」としてバター醤油で調味している。
こうした料理の工夫に加え、商品の見栄えをよくするために器には作家ものの陶器などを使用。一方、「漢字が読めなくて注文できない」ということがないよう、メニュー表はすべての漢字にフリガナを振っていることも外食経験の浅い若者心理を理解した細やかな気配りといえるだろう。
画像を見る