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オープン半年で坪月商70万円に成長。『めしや ヒロキ倶楽部』の実力を徹底解剖

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『つむぎ堂』から徒歩3分、大通りから道1本外れた路地沿いに店を構える。通りから店内の様子が分かるようにファサードはガラス面を広くとった

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フードメニューで重視したのは「分かりやすさ」

「小料理屋の入口」として機能させるために『ヒロキ倶楽部』ではさまざまな工夫が凝らされている。ひとつがファサード。「小料理屋は閉鎖的な造りになっていることが多いのですが、どんな店なのかが分からないと若者は入店しにくい。そのため、ファサードはガラス面を広くとり、通りから店内の様子を見られるようにしました」と村野氏は言う。

また、フードメニューを組む上で重視したのが分かりやすさだ。

季節感を打ち出すためにフードメニューは月替りとし、「ひとまず。」「菜」「焼。暖。煮。蒸。」などのカテゴリー別に約40品を揃えている。そのうち固定メニューは15品ほどで、売れ筋は「倶楽部のポテトサラダ」(748円)、「本気のアジフライ」(1,408円)、「ねぎ塩和牛ユッケ」(1,628円)、「厚切り牛タン」(1,628円)など。居酒屋や焼肉店の売れ筋メニューをアレンジした商品を中心にしており、その他の商品についても「商品名を見て料理をイメージできないものはメニューから除外している」(村野氏)という。

ポテトサラダにはおでん出汁で煮たジャガイモを使用。注文ごとにおでん鍋から取り出し、皮むき、マッシュをしてできたてを提供する

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注文トップのポテトサラダのジャガイモはおでん鍋に入れられており、注文ごとに皮剥きし、マッシュして作り立てを提供。『つむぎ堂』の売れ筋である「茹でたん」をグレードアップした厚切り牛タンは単品原価率45%を投じ、1.5cmに分厚くカットして商品力を高めている。

写真左から、群馬 下仁田ネギ 南蛮味噌770円、京都 大黒本しめじ 肉巻き968円

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若者心理を考慮し、メニュー表の漢字にフリガナを振る

レギュラーメニュー以外の商品も若者を意識した細かな工夫が施されている。

『菜』カテゴリーには旬の野菜を用いた商品を揃えるが、「京都 大黒本しめじ 肉巻き」(968円)であれば、単に本しめじの焼物ではなく、肉巻きにしているのがポイント。「商品名に『肉巻き』が付くか、付かないかで注文数が大きく変わる」と村野氏は言い、また味付けも「若者に馴染みのある味」としてバター醤油で調味している。

こうした料理の工夫に加え、商品の見栄えをよくするために器には作家ものの陶器などを使用。一方、「漢字が読めなくて注文できない」ということがないよう、メニュー表はすべての漢字にフリガナを振っていることも外食経験の浅い若者心理を理解した細やかな気配りといえるだろう。

フードメニューは月ごとに商品の6割を入れ替えており、写真は12月のフードメニュー。読みやすいように商品名の漢字にはすべてルビを振っている

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。